貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ローマングラス

2022-01-23 17:32:37 | 単品

石ではないのですけどね。



あちきのものではなくカミさんのコレクション。ミネラルフェアでアフガンブラザーズさんから。とてもお安かった。
変幻する煌めきが美しい。

ローマングラスは、ローマ帝国時代のガラスが地中に埋もれ、2000年の間に変質してできたもの。
湿度が高いのはだめ、温度が高すぎるのも低すぎるのもだめ。特別な環境が必要。だからレア。

古代ガラス自体はメソポタミアで生まれたと考えられているが、エジプトや西アジアで発展し、紀元少し前にアレクサンドリアで「宙吹き法」が発明されると、ローマ帝国内で食器などの生産が盛んになった。
それ以前のガラスは植物灰から採れるカリを用いたカリガラスが主だったが、ローマではエジプト産のナトロン(湖水蒸発性のナトリウム鉱物)を用いてソーダガラスが作られた。安定剤として石灰が用いられたらしいが、単に石英の不純物だった可能性もある。また融点と粘度を下げるために食塩が添加されたらしいが、これは単にナトロンの不純物だった可能性もある。このためローマガラスには1~2%の塩素が含まれていた。
そのローマガラスが、地中に埋もれ、アルカリや金属類と反応することで変質したり浸蝕されたりして、表面に雲母状の構造が生じる。これが光を反射して、七色の輝きを作り出す。この変化を「銀化」と呼ぶが、科学的な概念ではなく、銀とも関係ない。
ガラスに金属などの成分が溶け込んで「銀化」するのではなく、いくつもの薄い層になったガラスが干渉光を生み出すということ。

  ガラスと土中成分との化学反応→ガラス中の成分の脱落→雲母状構造変化

この雲母状層構造は人工で再現することはできないらしい
このため、ローマングラスは表面を濡らすと輝きはなくなる。これが本物と偽物の見分け方になる。ガラスの成分変化によって作られた偽物の輝きは濡らしてもなくならない。
ああめんどい。

単純な虹色ピカピカとは違って、磨りガラスの鈍さのある、上品な輝きが美しいです。
アフガニスタンで採れるというのは、そこまでローマ帝国文明が拡がっていたということなのでしょう。あれこれ夢想すると面白い。
乱掘で最近は出なくなっているという噂も。アフガンやその周辺はきな臭いし。値段は高騰するばかりでしょう。「見つけたら買っておきなさい」の部類かもしれません。(お、煽るねえ)

ガラスそのものについてはややこしいので別に。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿