貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アルミ鉱物ってすごい

2021-11-29 21:08:07 | 単品

アルミニウムというと、最近では飲料の缶。
昔は鍋や薬罐。軽くて便利だと人気になった。今はなぜかあまり。
日本の家の外観をぶち壊したアルミサッシ。気密性がよくて便利だけど、ほんとに味気ない。
そして一円玉。
という具合で、アルミニウムの印象はあまりよくない。
アルミニウムは、地殻構成元素としては第3位。上にいるのは酸素と珪素だけで、金属のトップ。8.1%で鉄の5.0%より多い。これは意外ですねえ。つまりは凡庸であるということ。けれども精錬が難しい。電力をたくさん使う。

《有用元素が鉱物中に含まれていても工業的に分離・抽出できない場合は鉱石にならない。例えばアルミニウムは下表にあるように地殻中では非常に一般的な元素で、花崗岩中の長石や粘土鉱物カオリナイトにも大量に含まれているが、これらの鉱物からアルミニウムを工業的に単離する技術は確立していないため鉱石に相当せず、ボーキサイトのみが鉱石とされる。》
《アルミニウムの鉱石であるボーキサイトは、ケイ酸成分やカリウムなどを含んだ元の岩石(例えば長石の一般式は(Na,K,Ca,Ba)(Si,Al)4O8)から、他の成分が水に溶解した結果Al2O3が濃集した物で、産地は雨水による風化力の強い熱帯雨林地域に多い。》ウィキペディア「鉱床学

アルミニウムと他の金属とくっついたものだと、有名どころでは、
ガーネット、スピネル、ベリル、スポデューメン(クンツァイト)、などがある。
そしてもちろん、塩基がアルミニウム単独のものもある。で、これが結構すごい。

・コランダム (Corundum 鋼玉)  Al2O3 ルビー、サファイア。
・カオリナイト(Kaolinite カオリン石、高陵石) Al4Si4O10(OH)8 粘土鉱物。
・ギブサイト(Gibbsite ギブス石) Al(OH)3 (ボーキサイトを構成する主要鉱物。
・ダイアスポア(Diaspore) AlO(OH)
・オージェライト(アウゲライト)(Augelite、アウゲル石) Al2(PO4)(OH)3
・ジェレメジェバイト(Jeremejevite) Al6[(F,OH)3|(BO3)5]
・トパーズ(Topaz、黄玉) Al2SiO4(F,OH)2 (OH のものがインペリアルトパーズ)
・カイヤナイト(Kyanite 藍晶石) Al2SiO5
・アンダルサイト(Andalusite 紅柱石) Al2SiO5
・シリマナイト(Sillimanite 珪線石) Al2SiO5

ルビーやサファイアが成分的には「酸化アルミニウム」だというのは、やっぱり驚き。
酸化アルミニウムというのは、すべてのアルミ製品の皮膜部分。酸素と触れてすぐに皮膜ができてしまう。つまりアルミ缶だって酸化アルミニウムで「コーティング」されている。
四大宝石のうちの二つなのにただの酸化アルミ。
アルミだし、単純な組成だし、だから、人工合成も進んでいる。つまらなくもあるけれど、いろいろな精密機器などに使われていて恩恵もたくさんなので仕方ない。昔はレコード針というのもありましたな。レーザーを発生させるのにもルビー、サファイヤが使われるし。

ルビーというと、うちではルビーインフックサイトのタンブル「フクベエ」君が出てくる。ルビーそのものなんて持ってないから。
かわいい。

何度か書いたような記憶がおぼろげにあるけれど(健忘症か?)、ルビーはどんな光の下でも赤く光る。やってくる光を透過しているのではなく、いったんエネルギーにして、赤として再生産しているらしい。つまりは紫外線及び可視光線蛍光する。わけわからん。では真っ暗な中だったらルビーは何色か。うむ、哲学的命題。(んなわきゃない)
とにかく、ルビーというのは変な鉱物です。
サファイアというのは、ルビー以外のコランダムに対して広く使われるそうです。不透明なものもあれば、緑のものもある。
これは東京サイエンスさんで売っていたお安いミニ標本のサファイア。これはこれで美しい。

カオリナイトというのは知らなかった。要するに陶磁器の粘土の主成分らしい。長石だと思っていたら違う。長石は釉薬の方。このアルミニウム鉱物が融けて、いろんなものを結合させて、あの硬い陶磁器を作るらしい。ふうん。カオリナイトの原石なんてあんまり見ないですね。

ギブサイトはあまり出ないけど、純粋結晶は美しい青。少し前にどこかで見たけど、もうない。

トパーズとカイヤナイト三姉妹は美石。けれど皆、どこか捉えどころのない感じがある。
トパーズは透明だと水晶と間違われる。日本で最初に採掘された時は水晶扱いだったと言う。シャンパン色や赤褐色や水色も見せるけれど、どことなく弱々しい。もっともトパーズは水晶より硬いけど。
インペリアルトパーズは、赤みを帯びた黄金色もいいし、結晶の筋筋もきれい。こういうのをそのままペンダントトップにしたものが時々あるけれど、とてもいいと思う。ジジイは付けられないけど。うちのは高品質でないし写真もよくないけど。

ブルートパーズは、そのままだとあまりにはかなすぎる。放射線処理されるのも仕方ない。

カイヤナイト三姉妹はすでに書いた。これは覚えているぞ。

アルミニウムの水酸塩鉱物、燐酸塩鉱物、硼酸塩鉱物という珍しいものもある。それは別に。

アルミニウムは単体では詰まらないけれど、化合した鉱物となると俄然面白い。陶磁器だってアルミ化合物のおかげ。考えを改めなくてはいけませんね。


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