(CNN) 中国全土で景気の減速に伴い、従業員のストが激増している。中国政府は国家を脅かす脅威とみなして摘発に力を入れるが、国有企業では大規模な人員削減が予定され、事態の一層の悪化も予想される。
四川省でこのほど、未払い賃金に抗議したとして起訴された出稼ぎ労働者8人に対し、禁錮6~8カ月の判決が言い渡された。
数百人の地元住民が集まった広場には「社会行政秩序を著しく乱す犯罪」を非難する横断幕が掲げられ、「未払い賃金の要求は理性的な努力で」と呼びかける。
香港を拠点とする労働者の権利団体「中国労工通訊(CLB)」によると、2011年から13年にかけて中国全土で実施されたストや抗議運動は1200件前後だった。それが14年には1300件を超え、15年は2700件強に激増。特に広東省では1日に1件を超す頻度で実施された。16年に入ってもこの傾向は続いている。
スト件数が過去最高に達する中で、中国政府は国有企業の大規模な縮小に乗り出し、鉄鋼と石炭業界の労働者180万人あまりの削減を打ち出した。
国営メディアによると、政府は解雇された労働者の再就職支援のため、2年間で1000億人民元(約1兆7000億円)を拠出する方針。
賃金紛争や労働問題を巡る苛立ちが暴動に発展したケースもある。
1月には北西部の寧夏回族自治区で、建設会社との金銭トラブルが発端となって出稼ぎ労働者がバスに放火し、17人が死亡した。
中国の労働運動は、南部の南海にあるホンダの自動車部品工場で2010年に実施されたストが転機だった。製造ラインにいた23歳の出稼ぎ労働者の男性が「こんな低賃金で働いてはいけない」と叫んで非常停止ボタンを押した。
工場の庭に集まった若い労働者は数十人から数百人に膨れ上がり、ほぼ全従業員が参加して19日間のストを展開。製造の中断を余儀なくされて、経営陣と中国政府はやむなく要求に応じた。労働者側が全面的に勝利した極めてまれなケースだった。
ホンダは和解内容や労働者との交渉内容について公にはコメントしていない。
同年夏には多数のストが実施され、労働者側が大幅な昇給などを勝ち取ったという。
中国の労働運動はすべて、中国共産党が1925年に設置した労働組合「中華全国総工会(ACFTU)」の統制下で行われ、この枠外で労働運動を組織しようとしたり交渉しようとしたりすれば、国家権力に対する攻撃とみなされる。
政府当局者は現行の労働法に対する批判も強める。国営新華社通信によると、楼継偉財政相は現行の労働契約法について、従業員が過剰に保護されており、雇用主による新規採用や研修への投資意欲がそがれるとともに、従業員の解雇などの対応が難しいとして批判したとされる。
中国国有の本渓鋼鉄集団は、世界の鉄鋼需要の落ち込みを受けて大幅な賃金カットを実施し、従業員多数を解雇した。ある従業員は、いったん解雇された後に日雇いで再雇用され、医療保険などの福利厚生が受けられなくなったと証言する。
ストや抗議運動の増加を受けて、労働者支援活動を行っている非政府組織(NGO)の摘発も強化された。米議会中国特別委員会によれば、広東省だけで昨年12月に労働者の権利を訴える活動家18人が拘束され、20人以上が尋問されたという。
このため関係者の間に不安が広がり、多くのNGOは活動を続けることがほとんど不可能になった。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのマヤ・ワン氏によれば、中国政府は労働者の間で政治に対する意識が高まって運動が拡大し、国家権力を脅かす事態になることを恐れているという。
今回、政府はかつてない不安定化に直面し、これまでよりもずっと大きな抵抗に遭うだろうと活動家のウー・ギジュン氏は予想。「労働者はかつて自分たちの権利についてほとんど認識していなかった。しかし今では問題にぶつかると、あきらめるのではなく、自分たちの権利のために抗議することをまず考えるようになった」と指摘している。
四川省でこのほど、未払い賃金に抗議したとして起訴された出稼ぎ労働者8人に対し、禁錮6~8カ月の判決が言い渡された。
数百人の地元住民が集まった広場には「社会行政秩序を著しく乱す犯罪」を非難する横断幕が掲げられ、「未払い賃金の要求は理性的な努力で」と呼びかける。
香港を拠点とする労働者の権利団体「中国労工通訊(CLB)」によると、2011年から13年にかけて中国全土で実施されたストや抗議運動は1200件前後だった。それが14年には1300件を超え、15年は2700件強に激増。特に広東省では1日に1件を超す頻度で実施された。16年に入ってもこの傾向は続いている。
スト件数が過去最高に達する中で、中国政府は国有企業の大規模な縮小に乗り出し、鉄鋼と石炭業界の労働者180万人あまりの削減を打ち出した。
国営メディアによると、政府は解雇された労働者の再就職支援のため、2年間で1000億人民元(約1兆7000億円)を拠出する方針。
賃金紛争や労働問題を巡る苛立ちが暴動に発展したケースもある。
1月には北西部の寧夏回族自治区で、建設会社との金銭トラブルが発端となって出稼ぎ労働者がバスに放火し、17人が死亡した。
中国の労働運動は、南部の南海にあるホンダの自動車部品工場で2010年に実施されたストが転機だった。製造ラインにいた23歳の出稼ぎ労働者の男性が「こんな低賃金で働いてはいけない」と叫んで非常停止ボタンを押した。
工場の庭に集まった若い労働者は数十人から数百人に膨れ上がり、ほぼ全従業員が参加して19日間のストを展開。製造の中断を余儀なくされて、経営陣と中国政府はやむなく要求に応じた。労働者側が全面的に勝利した極めてまれなケースだった。
ホンダは和解内容や労働者との交渉内容について公にはコメントしていない。
同年夏には多数のストが実施され、労働者側が大幅な昇給などを勝ち取ったという。
中国の労働運動はすべて、中国共産党が1925年に設置した労働組合「中華全国総工会(ACFTU)」の統制下で行われ、この枠外で労働運動を組織しようとしたり交渉しようとしたりすれば、国家権力に対する攻撃とみなされる。
政府当局者は現行の労働法に対する批判も強める。国営新華社通信によると、楼継偉財政相は現行の労働契約法について、従業員が過剰に保護されており、雇用主による新規採用や研修への投資意欲がそがれるとともに、従業員の解雇などの対応が難しいとして批判したとされる。
中国国有の本渓鋼鉄集団は、世界の鉄鋼需要の落ち込みを受けて大幅な賃金カットを実施し、従業員多数を解雇した。ある従業員は、いったん解雇された後に日雇いで再雇用され、医療保険などの福利厚生が受けられなくなったと証言する。
ストや抗議運動の増加を受けて、労働者支援活動を行っている非政府組織(NGO)の摘発も強化された。米議会中国特別委員会によれば、広東省だけで昨年12月に労働者の権利を訴える活動家18人が拘束され、20人以上が尋問されたという。
このため関係者の間に不安が広がり、多くのNGOは活動を続けることがほとんど不可能になった。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのマヤ・ワン氏によれば、中国政府は労働者の間で政治に対する意識が高まって運動が拡大し、国家権力を脅かす事態になることを恐れているという。
今回、政府はかつてない不安定化に直面し、これまでよりもずっと大きな抵抗に遭うだろうと活動家のウー・ギジュン氏は予想。「労働者はかつて自分たちの権利についてほとんど認識していなかった。しかし今では問題にぶつかると、あきらめるのではなく、自分たちの権利のために抗議することをまず考えるようになった」と指摘している。
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