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「しつけ」と「虐待」の決定的な違いとは?

2016年08月28日 08時03分34秒 | お役立ち情報
親が子どもに対して暴言を吐いたり暴力を振るったりする、いわゆる「虐待」があとを絶ちません。2015年には全国の児童相談所で対応した虐待件数が、統計を開始して以来、過去最多の10万3260件となりました。子育て中の人はもちろん、将来子育てする可能性がある人たちにとって、注視すべき事態であることは間違いありません。

虐待事件のニュースでは「親自身はしつけだと考えてやっていた」と伝えられるケースも少なくなく、その線引きは曖昧にとらえられがちです。しかし、「しつけと虐待はまったく性質が異なるものです」と語るのは、国立成育医療研究センター・こころの診療部部長で、親子関係の問題や児童のメンタルヘルスに詳しい奥山眞紀子氏。

「しつけというのは、当て字として『躾』、つまり『身』を『美しくする』と書くように、美意識を伝承する意味合いが含まれています。その社会や文化の中で美しいとされる『感覚』や『型』を子どもが身につけることがしつけの本分です。一方、虐待というのは『子どもの権利』を侵害すること。子どもの権利とは、子どもが心身ともに健康に、自分らしく育つために、しつけも含めて自身が成長するための適切なケアを受けられることを指します。

一方で、親が行動を改善させたいと思っていても、暴力をふるったり、恐怖を与えるような強い言葉を使ったりしてしまえば、適切な教育には当たらず、子どもの権利を侵害していることになります。

したがってそれは『虐待』に当たります」

ただ、なかには「厳しく指導しないと言う事を聞かない」という理由で虐待してしまったケースも。しかし、奥山氏は「そうした指導はまったく効果を持たない」といいます。

「暴力で子どもの行動が望ましい方向に変わったり、また、教育の効果が出たりすることはないと考えた方がよいでしょう。 1979年のスウェーデンを皮切りに、北欧諸国では家庭における体罰禁止を法律に規定し、他の国も追随してきました。結果、体罰を禁止した方が、子どもの行動変容を促すことがわかっています。子どもは『こういうことをして褒められた→嬉しかった→次もやろう』というように前向きな感情によって気持ちが変遷し、行動に表れていくものです。たとえ怒られたとしても、『次は怒られないようにその行動をしない』という思考の流れが必要です。しかし、『叩く』『怒鳴る』という恐怖が与えられると、子どもはそこから逃れることだけに集中してしまうので、行動変容にはつながりません」

何より危険なのは、子どもは恐怖で従っているだけなのに、その様子を見て親が「言う事を聞いた」と思ってしまうこと。

「子どもはその場の恐怖や緊張を何とか乗り切ろうとして、親の希望する言葉を発することになり、本当の意味で行動を変える流れにならないのです。つまり、親の側ではしつけのために仕方なく暴力という手段を取ったと考えていても、『言う事を聞かない→虐待を加える→行動は変わらない→さらに虐待する』という負のスパイラルに陥ってしまうのです」

とはいえ、親も感情を持つ人間。

しつけのつもりが子どもに対する怒りやストレスが度を越して、手を上げたり、強い言葉を浴びせてしまったりすることもあるかもしれません。しかし、それがあったから二度と取り返しがつかないというわけではありません。諦めずに親も成長していくことが必要だと奥山氏は言います。

そんな子育てで最も必要なのは“子どものニーズ”に合わせて向き合うことなのだそう。

「子どものニーズに合わせるということは、子育てにおいて一番の基本です。危険を感じて不安や不快になったときに、子どもは泣くなどの行為で“不快”を表現します。それに対して、抱く、優しくゆする、ミルクをあげる、おむつを替えるなどの適切なケアをすることで、子どもは親をいわゆる“安全基地”とみなし、不安なときは親に寄って行くようになります。子どもが安心感を抱けるようになると、遊びや冒険といった探索行動をするようになります。その時には、『一緒に遊びたい』『手助けしてほしい』といった子どものニーズに親が合わせることによって、子どもの達成感や満足感が育ち、発達につながります。子どもの行動には何らかの背景があります。まずは、『この子はなんでこういう行動をしたんだろう』と考え、理解しようとする姿勢が親には必要です」

そのためにも、母親自身が夫をはじめ周囲から育児のサポートを受け、余裕を持っていることが不可欠だと言います。自信がないとき、うまくいかないと感じたときには、保健師さんなどの専門家へ相談することも大切。

いま育児をしている人も、これから母親になることを望んでいる人も、まずはしつけと虐待の違いを理解したうえで、子どもと向き合うことが欠かせないといえるでしょう。

(末吉陽子/やじろべえ)
(R25編集部)

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