年金はいくらもらえるのか。厚労省が27日まとめた試算によれば、現在40歳以下の世代が受け取る厚生年金の金額は、経済が成長しても現役世代の収入の半分強、マイナス成長だと半分以下にとどまることがわかった。今年度65歳になる人が現役収入の6割強の支給を受けるのに対し、世代間格差が鮮明だ。
65歳時の年金額は? 労働力の状況 労働参加が
進まない 女性や高齢者の
就労が進む
生年
(年齢) 年金額
(月額、
万円) 現役
収入比 年金額 現役
収入比 年金額 現役
収入比
1949(65) 21.8 62.7 21.8 62.7 21.8 62.7
1954(60) 20.8 59.9 20.7 59.7 20.8 60.0
1959(55) 21.2 57.3 22.2 58.3 22.3 58.7
1964(50) 21.1 54.4 22.9 56.8 23.7 57.2
1969(45) 21.1 51.9 23.6 54.8 24.9 55.3
1974(40) 21.0 49.3 23.9 52.3 25.9 52.7
1979(35) 21.0 46.8 24.7 50.6 27.4 51.0
1984(30) 21.1 44.7 26.3 50.6 29.9 51.0
経
済
条
件 成長率 ▲0.2 0.4 0.9
物価上昇率 0.9 1.2 1.6
賃金上昇率 1.0 1.3 1.8
(注)▲はマイナス
5年に1度の公的年金の財政検証の一環として厚労省が27日の社会保障審議会に提出した。高成長、標準、低成長の3つのシナリオを想定し、65歳時の年金額を生まれた世代ごとに試算した。
夫婦が同年齢の専業主婦世帯の標準ケースで、今年度2人が65歳になる世帯は月21.8万円を受け取る。現役世代の手取り収入の62.7%にあたる。一方、いま30歳の人が65歳到達時に受け取る年金額は、経済が0.9%成長した場合でも、月29.9万円。表面上の金額は増えるが、物価や賃金の上昇を考えると、現役収入の51%と実質的な受取額は減る。
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経済が0.4%成長する標準シナリオでは月26.3万円(現役収入の50.6%)にとどまる。0.2%のマイナス成長となる低成長シナリオでは月21.1万円(同44.7%)と、現役収入の半分以下になる。年齢が上がるにつれ、現役収入比の年金額はさらに減る。
高成長、標準のシナリオは、女性や高齢者を中心に約600万人の働き手が増えるのが前提だ。30代の子育て期に働く女性が減る「M字カーブ」がなくなるほか、60代後半の男性が働く比率が今の49%から67%に上がることを想定している。
現実には、経済構造がそこまで変わるとみる見方は少ない。となると、20代、30代の現役世代が将来もらえる年金は現役世代の半分以下というシナリオが現実を帯びる。
世代間格差がなぜ生まれたのか。一つは現在の高齢者が受け取る年金が制度の想定よりも多くなっていることだ。厚労省は高齢化に合わせて自動的に給付を抑える「マクロ経済スライド」を2004年に導入したが、デフレのときには使えないという欠陥があり、まだ一度も発動していない。高齢世代の「もらいすぎ」が放置されている。
一方、現役世代の厚生年金の保険料率は年0.354%ずつ上がっている。給付抑制を先送りしたツケを現役世代が払っているのが実態だ。
65歳時の年金額は? 労働力の状況 労働参加が
進まない 女性や高齢者の
就労が進む
生年
(年齢) 年金額
(月額、
万円) 現役
収入比 年金額 現役
収入比 年金額 現役
収入比
1949(65) 21.8 62.7 21.8 62.7 21.8 62.7
1954(60) 20.8 59.9 20.7 59.7 20.8 60.0
1959(55) 21.2 57.3 22.2 58.3 22.3 58.7
1964(50) 21.1 54.4 22.9 56.8 23.7 57.2
1969(45) 21.1 51.9 23.6 54.8 24.9 55.3
1974(40) 21.0 49.3 23.9 52.3 25.9 52.7
1979(35) 21.0 46.8 24.7 50.6 27.4 51.0
1984(30) 21.1 44.7 26.3 50.6 29.9 51.0
経
済
条
件 成長率 ▲0.2 0.4 0.9
物価上昇率 0.9 1.2 1.6
賃金上昇率 1.0 1.3 1.8
(注)▲はマイナス
5年に1度の公的年金の財政検証の一環として厚労省が27日の社会保障審議会に提出した。高成長、標準、低成長の3つのシナリオを想定し、65歳時の年金額を生まれた世代ごとに試算した。
夫婦が同年齢の専業主婦世帯の標準ケースで、今年度2人が65歳になる世帯は月21.8万円を受け取る。現役世代の手取り収入の62.7%にあたる。一方、いま30歳の人が65歳到達時に受け取る年金額は、経済が0.9%成長した場合でも、月29.9万円。表面上の金額は増えるが、物価や賃金の上昇を考えると、現役収入の51%と実質的な受取額は減る。
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経済が0.4%成長する標準シナリオでは月26.3万円(現役収入の50.6%)にとどまる。0.2%のマイナス成長となる低成長シナリオでは月21.1万円(同44.7%)と、現役収入の半分以下になる。年齢が上がるにつれ、現役収入比の年金額はさらに減る。
高成長、標準のシナリオは、女性や高齢者を中心に約600万人の働き手が増えるのが前提だ。30代の子育て期に働く女性が減る「M字カーブ」がなくなるほか、60代後半の男性が働く比率が今の49%から67%に上がることを想定している。
現実には、経済構造がそこまで変わるとみる見方は少ない。となると、20代、30代の現役世代が将来もらえる年金は現役世代の半分以下というシナリオが現実を帯びる。
世代間格差がなぜ生まれたのか。一つは現在の高齢者が受け取る年金が制度の想定よりも多くなっていることだ。厚労省は高齢化に合わせて自動的に給付を抑える「マクロ経済スライド」を2004年に導入したが、デフレのときには使えないという欠陥があり、まだ一度も発動していない。高齢世代の「もらいすぎ」が放置されている。
一方、現役世代の厚生年金の保険料率は年0.354%ずつ上がっている。給付抑制を先送りしたツケを現役世代が払っているのが実態だ。
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