独協大教授で経済アナリストの森永卓郎氏(65)が10日、TOKYO MX「バラいろダンディ」(月~金曜後9・00)に生出演し、税収増と増税のからくりを解説した。
昨年度の税収は71兆1374億円で、3年連続で過去最高額を更新。ところが、政府は減税はおろか、退職金の課税強化などを念頭に掲げており、今後も大増税の波はとどまりそうもない。
税収増の理由について、森永氏は「円安による物価高」を挙げた。「物価が高くなれば、消費が増えますから、自動的に消費税が増えるという構造。最近、大手企業を中心にコスト増の分を値上げするだけじゃなく、もうけを増やすために値上げするというのが広がっている。もうけが増えると、法人税は増える。物価が上がると賃金が上がりますよね。賃金が上がった分だけ累進課税になっているから、もっと所得税が増える。基幹税がみんな増えているという構造」と解説した。
森永氏は、国民負担率の現状にも言及した。「私が社会に出た1980年は30%だったんですけど、昨年度48%。3割課税が5割課税に上がっている」。現状の税収はまさに、江戸時代の年貢率“五公五民”状態だが、今後の増税は続く見通しといい、「かつての政権はそこで減税をしてきたんですけど、岸田さん、まったく減税する気ない」と言い切った。
また、財務省による細かな増税も地味に国民生活を圧迫していることも理由という。「財務省は行政機関だと思われてるけど、実はカルト教団なんです。“財務真理教”って。ここの最大の教義は、“税率は上げ続けるものだ”と」と、強烈な言い回しをまじえながら解説。「100%まで国民負担率が行ったら止まるだろうなと思ったんですけど、そんなことはないんです。カルト教団、考えてみて下さい。預貯金解約させて、家まで売り飛ばして、献金しなさいって言うじゃないですか?それと同じことを財務省はやってる」と過激に言い放った。
森永氏の指摘に、科学者の苫米地英人氏は、「100%を超えるというのはその通りで、(森永氏の話は)一般会計の話じゃないですか?特別会計もあるわけで、300%だってありえるわけですから」とおおむね同意した。
森永氏は、財務省が発表している政府の貸借対照表を示した。これによると、1661兆円の負債とは対照的に、資産も1121兆円とあり、森永氏は「1600兆円の借金がありますよと言いながら、こっそり1100兆円も預金している状況。借金だらけとは言えない。540兆円というのが本当の(借金の)額」とからくりを指摘した。
さらに、返済や利払いの必要がない日銀保有の国債などを換算すると、日本の借金は差し引きでわずか8兆円という。数字は2020年度のものだが、ここ数年の記録的税収もあり、「現時点で言うとプラスになっている」と森永氏。「貯金してるのに“借金で首が回らないので増税させて下さい”と、わけの分からない理論を言っている。それをみんなだまされちゃっている」と、森永節は止まらなかった。