ローマ人の物語Ⅳに続き、ローマ人の物語Ⅴ を読みました。
5巻はユリウス・カエサルがガリア戦記を終えてから、暗殺され、後継者争いが終わるまで。
ローマの歴史をまともに読んだ事はなく1巻目から興味深く読んだいたけど、
特にこの4~5巻は面白い。
作者に言わせれば、「生き生きと描けたのは」ローマの他の時代に比べ当時の記録が多く、特に当事者カエサルとキケロによる書物や記録が多く書かれたからとありましたが、やはりカエサル本人の魅力もあるでしょう。
4巻の前書きに歴史上の人物からのカエサル評「歴史上トップクラスのリーダ」というのも納得でした。
地中海に覇権を確立したローマ、しかしその統治体制の限界を感じ、社会そのもののあり方を変革していく。
そのために必要な地位と権力を合法的に獲得していく過程、
情報収集能力、部下の使い方、人身掌握、戦略・戦術能力、そして、寛容さと冷徹さ、他の人物たちがかすんで見えてしまうほどの能力と魅力に溢れています。
惜しくも、改革を始めかけてから暗殺されてしまいますが、そのときに事前に遺言状に示してあったのが、後継者は当時18歳のオクタビアヌス。
ローマの政治キャリアは一般的に30~40歳から始まっており、指導層に立つには異例の若さ。
そのオクタビアヌスが慎重にアントニウスのとの争いを経て権力を握るまでが描かれています。
カエサルが改革したり、道筋をたてオクタビアヌスが確立していく体制がその後のローマ帝国の基礎となっていきます。帝国というと、侵略したりという印象ですが、どちらかというと共和制時代に広がっていった属州や同盟国をしっかりと確立し、インフラや様々な制度など内政を整えていったようです。
自国は多神教で法律による規律をよしとしながら、属州などではその地の制度や宗教を活かしたまま治めていたというが興味深く思います。
ちなみに副題にある「ルビコン」とは、ローマと属州の境にある川で、その川を軍隊を引き連れえ越えることは国家に対する反逆とされていた川をカエサルがあえて越えた、そのことを差しています。