海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(上)を読みました。
「ローマ人の物語」から「ローマ亡き後の地中海世界」を経てたどり着いたわけですが、「ローマ亡き後~」で描かれていたのと同じ時代、ただしあちらでは、地中海全体であることと、既にこの本があったことから、ヴェネツィアについてはそれほど深く触れられてはいなかったのです。
ヴェネツィアについても、名前や街中を水路が走っているイメージは知っているものの、それ以上のことはほとんど知らなかったです。第4次十字軍で「なんだか、皆をうまくだまして得した」ようなとか、そんなイメージでした。
領土、資源、人口ともに十分にない国家がいかに生き延びていくか、国としてのリスク排除・機会の提供の徹底振りは見事というしかないです。
たとえば、貿易ひとつとっても、船員一人一人が商品を持ち込む権利があり、皆が安全に目的地につくことに一致団結できるような枠組みや、船長だけが判断するのではなく、合議制で決定することに国として決めています。
商人も複数の違う航路に荷物を預けつつ、自分はある航路の船長をしたりとか、保険の制度や資金融資の仕組みの充実などリスクの分散や新しい活力が生まれる仕組みがあります。
ただ、権益の独占を図るものが現れれば、国として排除します。罰金や国外追放。
商人たちは、若い頃から船に乗り込み、オリエントや小アジアなどを交易して周り、ほとんど国に帰らない生活をおくっていたようです。諸外国の文化の違いや状況を肌で感じ。、中年以降になって、ヴェネツィアに戻ると政治活動などに従事するようになります。
国のかじ取りにしても、元首は終身だけども、元老院などから選ばれた委員会の合議をへなければ何も決めれなかったり、でありながら、トルコやローマ法王、欧米諸国の間を外交で渡り、うまく自国に航路の独占ができるようにもってったり。
本を読んだ印象で、「ローマ人の~」のように誰かという人物の印象が残らない。
そんな国家だと感じました。外交、インテリジェンスについて、見らなうべきなんだろうなぁ。