ローマ亡き後の地中海世界(下)を読みました。
地中海を海賊が暴れまわっていたという点においては、上巻と変わりませんが、それを取り巻く状況については、若干様子が変わってきています。
コンスタンティノープルの陥落、トルコの隆盛。トルコガ徐々にヨーロッパに侵攻してくる過程で海上戦力として、北アフリカの海賊を利用し、バックアップします。
対するキリスト教諸国も、スペイン、フランスが反目しあいつつも、ヴェネツィアや法王庁、聖ヨハネ騎士団などが協力しつつ、海賊に対抗する連合艦隊を組み対抗する。
勝ったり、負けたり 、一時的に海賊の脅威がなくなることがあっても最終的にトルコが海賊のバックップを公式にやめるまで、このような時代は続きます。
スレイマン、カルロスという歴史の授業で聞いたような君主や、レパントの海戦、スペインの無敵艦隊、それがどんなものであったか。
スペインが勝ったレパントの海戦。印象はスペインがすごい艦隊をもっているイメージでしたが、200隻以上の戦力のうち、ヴェネツィアが半分以上の船を出していたし、スペインの船も属国であるイタリアや傭兵がほとんどので、本国の船は14隻程度しか出していないなど、実はスペインも海軍国ではなかった。とか、トルコとヨーロッパ諸国との間を外交でバランスをとっていたヴェネツィア共和国の情報戦のうまさなど、詳細に描かれていて非常に面白い。
この本は、大きな流れを描いていますが、著者はこの本で書かれた時代の大きな事件、コンスタンティノープルの陥落やレパントの海戦、また、ヴェネツィアに焦点を当てたものなども書かれていますので、次はそのあたりを読んでみようと思います。