これまた、何気なく手にした一冊^^
須藤清貴「3年7組食物調理科」です。たぶん、
食物調理という、ただ、この部分だけに反応しちゃったんだと思います(^ ^;
東京近郊にある新居山総合技術高校。1年、2年、3年と、各学年とも7組が食物調理科となり、「ショクモツチョウリカ」略して「ショクチョウ」と呼ばれています。
その3年7組の面々が担任の小梅先生と織りなすさまざまなドラマ。一人の男子生徒の視線から描かれます。
高校学園ドラマなんて言うと、私の頭に浮かぶのは、古くは「我ら青春(のシリーズ)」、新しくは「ごくせん」でしょうか。
ただ、ここに出てくるのは、ごくごく普通の高校生。どっちかというと、(調理科なので)実習なんかに重きを置いている高校生。
上記二つのシリーズとは違って、授業に一所懸命取り組んでいる高校生のお話です。
「調理に関しては完璧主義。100点満点をめざす」というのが、ぼくらのプライドなんだ。【8ペ 「美味しいショクチョウ・ギロン」】
「全然だめ。もっと考えて。こっちの不手際をお客さまに明かす必要なんてないでしょ?
なんて言ったらいい? 希美」
「大事なのは、そのときに心をこめて声をかけること。心をこめて小皿をおわたしすること。それができれば、少しでも失敗を取りもどすことができるの。心をこめて、お客さまをもてなしなさい」【80ペ~81ぺ 「博多煮に心をこめて」】
「高校生-高校=?」ってことだ。漢字の引き算ならば「生」だけが残る。生きているだけ。そうなることが怖い、と思う。そうなったときの自分はどんな気持ちになるのか、想像するのが怖い。【213ペ 「ごぼ天うどんが美味しくて」】
こういう生徒たちのお話です。書き方を間違えると、小説としては面白くも何ともなくなってしまうと思いますが……。
鏤められた数々のエピソードが、
ショクチョウ・ワールドにぐいぐいと引き込んでくれます。
ただし、安くて美昧くて勉強になることばかりじゃない。サービスは並以下だ。大テーブルに10人ずつ3組に分かれて座ったんだけど、注文してない料理もどんどんテーブルの空きスペースに置いていく。置き方も雑で、授業でやったテーブルサービスのイロハを吹き飛ばすような大雑把さだった。【17ペ 「美味しいショクチョウ・ギロン」】
早朝から仕込みに入るから、午前中には校舎に調理の匂いがただよう。牛ばら肉たっぷりのビーフカレーを作ったときには、スパイシーな香りが調理実習室から廊下をぬけて各枚室ゃ職員室、校長室にまで流れこんだらしい。昼時、学食に「あの匂いのカレーをくれという希望者が殺到したそれが食べられないと知った希望者は失望しながらも、定番メニューのカレーライス(それなりに美味しい)を注文し、あっという間に売り切れたという。同じ中学出身の情報技術科の友達が、「2時限目あたりから美味そうな匂いがしてきて、授業が頭に入らなかった。カレーが食いたくなって居ても立ってもいられなくなっちゃってさ」と言った。
登校したら下校までは外出禁止になっているけど、その日は昼休みにぬけだす連中が散人いたという。近くに大型のショッピングモールがあって、そこのチェーン店のカレー屋にかけこんだというんだ。カレーの匂いは人の心と身体を動かす。【36ペ~37ペ 「トゥルヌド・ステーキ ロッシーニ風」】
なんか、分かる、分かるっていうのもあったりして^^
3口目には涙が出てきた。花椒(ホァシャオ)が効いている。ぼくが作る麻婆豆腐(マーボーどうふ)にも花椒を効かせるけど、ここのは花椒が新鮮で生きている感じだ。花椒が口の中ではじけている。かために炊いたご飯が美味い! 白い皿にアメ色の油がきれいに分離していて、この油が辛くて美味い。辛味に深いコクがある。油が熱いから、花椒の辛さも熟い。
「辛いでしょう。美味しいでしょう」
(中略)
「元気、出たの?」
「出た出た。身体から水分が出ると、人って元気になるのね。これを食べたら、胸がすっきりしてさ。くよくよした気分が飛んでいった。テーブルに着く前とテーブルを立つときで、気分が全然ちがう。ここの麻婆豆腐は、汗が出て涙が出て、鼻水が出て元気が出る。
人を辛せにしてくれる料理だと思った」【233ぺ 「母さんの思い出のメニュー」】
笑っちゃうものから、ホロリと来るものまで。先が早く知りたくてって、感じで読み進めてしまいます。
名言もあちらこちらに^^
「料理は、人を生かしもするし、殺しもする」
ショクチョウに入って、小梅先生から何度も聞かされた話だ。
殺す、というのは物騒な表現だけど、「悪い料理は、人の気持ちを殺してしまう」ということだと思う。【47ぺ 「思い出のうどんパーティ」】
小梅先生が「食事のことを軽く見る人は、物事を深く考えない人です」と言っていた。【146ぺ 「白熱! チューハイ・ギロン」】
「ふたりとも、昔から本当に美味そうにメシを食うな。そういうヤツが、やっぱりショクチョウみたいなところに行くんだな」【224ぺ 「ごぼ天うどんが美味しくて」】
「日本の言葉が一番ぴったりくる。やっぱり米だから。炊き上がった白米はびっしりとくっつき合ってるよね。いまのみんなのように。そして独特のねばり気がある。米を主食にする国はほかにもあるけど、だいたいぱさぱさの乾いた炊き上がりになる。『同じ釜の飯を食う』ということは、おたがいの関係はドライじゃない。湿っていてねばり気がある。そういう仲間なの」【246ペ~247ペ 「しびれる! 麻婆豆腐」】
料理ネタの作品だけあって、料理のコツもそこかしこに^^
「母さんもね、居酒屋でまかないを作るときがあって、麻婆豆腐をこしらえるのよ。それがけっこう評判。最大のポイントはね、トウバンジャンやテンメンジャンを入れるでしょ。あれは肉にからめない。必ず油に溶かしこむの。混ぜるんじゃなくて、調味料を炒める、って感じ。ぐっと風味が立つし、肉や豆腐全体に味が回るのね。いそがしいから豆腐は下ゆでしなくても、これで美味しくなるの」【235ぺ 「母さんの思い出のメニュー」】
知っていました?^^
【ノート】
「3年7組食物調理科」
著 者:須藤清貴
発行所:(株)講談社
発 行:第1刷 2014年3月27日
ISBN978-4-06-217876-1
価 格:¥1,300.-+税
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