老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

639;積もった雪

2018-01-28 11:52:04 | 読む 聞く 見る

降る雪を見て想う

金子みすゞ  積もった雪

上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしてゐて。

下の雪
重かろな。
何百人ものせてゐて。

中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。


19歳の春まで
雪国で育った私は
積もった雪から
みすゞさんのように
雪に対して
想いや労りを感じることはなかった。
上の雪
さむかろうな

夜明けの雪は
深々とし冷え込む
満月の光に照らされた雪原は
幻想的な明るさであったのを覚えている
〔小学校5年生のとき ニセコに棲んでいたときのこと〕

下の雪
重かろうな

下の雪は
縁の下の力持ちかな
春が近づくと
地面は温まり
下の雪は融け始めて来る

みすゞさんは
中の雪まで労わるやさしさも持ち合わせている
中の雪
さみしかろうな

中の雪まで
気配りができるであろうか・・・・
〔なかなかできるものではない〕
空も地面も見えない
暗闇のなかで過ごす雪は
寂しく孤独

感受性ゆたかな
みすゞさんの詩に惚れてしまうあたし

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