たかが親子されど親子、そして兄弟そして夫婦そして自分

いづみかほるの様々な想い(世のファミリーをテーマにエッセイ風に綴っています)

『母を想う』

2024-08-17 10:40:38 | エッセイ風
『母を想う』
今日は母の逝った日。
三十代で夫に先立たれ、貧弱な娘と手のかかる息子を懸命に育て、孫についても仕事を抱えながらも可能な限り協力してくれた。人に尽くすのは積極的だったが尽くされるのが苦手で、晩年の口癖は「迷惑をかけないでコロッと逝きたい」だったが、そのとおり自宅で静かに旅立った。前日、あまりの暑さに心配した私が電話口で聞いた「生きてるよ」という声が、自分の聞いた最後の言葉だった。
幼児期には川でおぼれ葬式準備中に息を吹き返し、思春期には激しい爆撃の中たまたま入れなかった防空壕が命中全滅し偶然にも命拾いした母。もしも母の命がそこで途絶えていたならば、自分の誕生もなく夫との出会いも息子の誕生もその嫁との出会いも、孫の誕生もなかった。命はつながっている。
逝った年は悲しむ余裕もなく日々を送っていたが、一年経ち二年経ちを繰り返し母のいない空しさを感じる今日この頃。
仏壇に向かい、懸命に生きよう懸命に生きよう、そう心に誓う。
 
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