HAZAMAN'S WORLD WEBLOG

自分が描く絵のことや、日々の暮らしの中でふと気付いたことなど・・・・

個展の紹介です

2005年11月29日 | Weblog
一日分の仕事が終わって、本来なら会社まで戻らなければならないところですが、どうしてもお尻の辺りがムズムズして、会社に戻る気がしなかったもんだから、大阪の画廊へ、知り合いの個展を見に行きました。

作家は女性です。確か元々は、陶芸を勉強していた人だと記憶しています。それがいつの頃からか、所謂パフォーマンスというものを演ずるようになった人です。

彼女は二パフというパフォーマンスアーティストのグループに参加していて、世界各地のパフォーマンスアートのフェスティバルなどに、積極的に参加しています。

つい最近も、中南米の国へ行っていたそうで、現地では、日本と比べてパフォーマンスの認知度も高く、観客が実に熱心に見てくれたと、久々にそんな報告を熱く語ってくれました。

ぼく自身、パフォーマンスについては本で読んだ程度の知識しかなく、この女性作家を含め、ごくわずかな数のアーティストの仕事をほんの数回、見たことがあるに過ぎません。

そんな、かじった程度にしか知らないパフォーマンスのことを何やら語るのもおこがましいですが、久々に彼女の仕事を見る機会に恵まれたので、ちょっと書いてみたいと思います。

数年前に、初めて彼女の仕事を見たときからずっと思っていたのは、「パフォーマンスって、やっぱりなんやねん!!」ということです。

演劇でもない、ダンスでもない。表現するための特定の形式があるわけではないのですが、明らかにそのためだけに生み出された特有の動き、道具立てなどで、束の間の時間を彼女は黙々と織り上げていく。

でも、結局それが何なのかは分かりません。恐らく意味もメッセージもないんだろうなぁという、不可思議さと分からなさが渾然一体となった状況を、彼女は一身に体現しているんです。

以前は、単に彼女に演ずる力が足りていないだけなのだろうなと、失礼ながらそう思っていました。でも、どうやらそういうわけでもないようなんですね。

今回彼女は、10個の生卵それぞれに、小さな鈴を結び付けた細い糸を貼り付け、それをごろごろ引っ張りながら、犬の散歩よろしく画廊の中を練り歩いたのです。
なんでしょうか。卵を引っ張る彼女を見ながら、ぼくは、子供がそこら辺にあるもので見事な遊びを作り出していく自在さに似た何かを彼女に感じたんです。

思うに、人間って日常のどこかでは、こういう、なんとも形容しがたい時間の過ごし方が必要なんではないでしょうか。そんな風に感じたんです。

多分、まったくわけの分からないことをやれる人間が堂々と生きていける世の中って、少なくともまだ健全な部分が残っていると思うのです。

過労死だとか、中高年の自殺とか、くそまじめに生きる社会はかなり崖っぷちな感じがしますし、お隣韓国でも大学生の自殺が頻発しているそうですね。

とりあえず生活できる程度に働く、ということを遥かに超えて、働くために生きているような状態になってしまった社会では、やはり人間には不自然なんでしょう。
でなければ、自殺がそうそうあるとは思えないのです。

硬直して、崩壊しかかっているぼく達のこの精神を、揉みほぐしてくれるもの。その一つの例が彼女のパフォーマンスではないかと思うのです。

素晴らしいもの、何かありがたいものや、特別なものを期待して見に行くと、多分機嫌を損ねて帰ることになると思います。何も期待せず、あるがままに、今目の前で起こることを見つめ経験する。これが彼女の仕事との上手な向き合い方だと思います。

ちょっと最近テンパッテてやばいな、と思っている人にはお勧め。ぜひ見てもらいたいものです。

パフォーマンスのほかにも、会場にはちょっとほくそえんでしまうようなオブジェがいくつかあります。こちらもなかなかでした。

その個展の詳細は以下の通りです。

大橋 範子 展

会期 2005年11月28日~12月3日 
時間 11時~19時(最終日~17時)
会場 信濃橋画廊
所在 〒550-0005 大阪市西区西本町1-3-4 陶磁器会館地下
   地下鉄四つ橋線本町駅下車20番出口より徒歩3分程度。
電話 06-6532-4359

*パフォーマンスは最終日12月3日15時からあります。
 

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