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春庭パンセソバージュ

野生の思考パンセソバージュが春の庭で満開です。

ぽかぽか春庭「漢字の使い分け(作る・造る・創る)」

2006-01-18 | インポート
2006/01/17 水  
I・Ro・Ha Jrui Show Time(色葉字類抄待夢)>漢字の使い分け(作る・造る・創る)

 a*****さんからいただいたコメントへの返信。「つくる」の使い分けの、より詳しい解説です。

「造る」と「作る」の 使い分けについて。a*****さんのコメント。
 「錠前を作るの「作る」ですけど、時々出てきては、迷うことがありました。手で動かせる比較的小さな物は作る、車や船など大きな物は造るという区分で大体納得していますが、それでも固形の物と量的なもの、無形のもので、違ってきそうで釈然としないこともあります。稲作、作曲/刺身のお造り、木目の浮造り(うづくり)、酒・味噌の醸造・・・・・製作と製造は、慣用的多数派で決まるのでしょうか。 」

 多くの辞書では、つくる対象のものの大きさ、加工の度合いによっての使い分けを解説しています。
 大修館「現代漢和」の使い分けを中心として、解説すると。

作る=偏は「人」。旁(つくり)の「乍」は、木の小枝をナタで切りのぞいて形づくる、の意。人がナタをふるって枝の形を整え、道具として使えるように作ることが基本の語義。
 主として規模の小さいものや抽象的なもの、無形のものをつくるときに用いる。
例)米を作る、規則を作る、小説を作る
  稲作、豊作、秀作、佳作、作詩、作者、作品、作法

造る=繞(にょう)は「進んでいく」の意。旁は告。つげる。屋内で供物をそなえ、祈るさまから、「いたす、すすめる」の意となり、さらに「人工のものが目的の形にいたる」の意味から「つくる」を意味するようになった。
例)船を造る、庭園を造る、酒を造る、
  造船、造園、酒造、醸造、偽造、造花、造詣、造語、造作、造反

創る=旁の「リ(りっとう)」は、刀の意。扁の「倉」は、「傷を受ける、きずつく」刀を入れ、はじめに切り込むことから「工作のはじめ」「新しくものをつくりはじめる」の意となった。今までなかったものを、はじめて創り出す。
例)神が天地を創る、会社を新しく創る、(一般的には作るでもよい)
 新しくつくるの意味で 創案、創意、創刊、創作、創設、創立、独創
 傷の意味で 銃創、創痍(満身創痍など)

 「作る」が一番幅広く使うことができ、創る、造るの意味もカバーする。
 「造る」は、人工的につくり出す、という意味が大きく、造船、造園など規模が大きい場合につかう。
 また、自然にないものを人工的につくり出すとき、小規模なものであっても、造るを使う。「作り花」はあっても、熟語としては「作花」ではなく、「造花」になる。

 「造る」は、人工的に「改変する」という意味が大きく、もとの材料から大きく変化した場合に使用される。

 稲をつくるに当たっては、種籾から稲穂まで自然の推移に従ってつくられるので、大規模農業であっても、「稲を作る」。
 一方、酒は、稲籾から大きな変化をたどって、もとの形とはまったく異なるものに出来上がるので、小規模な家内作業で行うとしても、酒造、「酒造り」のほうが、酒作りよりふさわしく感じられる。

 製作と製造の違いも、人工的な変化の度合いが大きい場合や規模が大きいほうを製造とすることで、よいのではないでしょうか。

 さしみを「お造り」と言うのも、元の魚から見た目に大きく変化した形となり、人の手が入ったことがはっきり感じられることから、「造」を用いる、作詩作曲は、抽象的なものをつくる、という解釈でよいと思います。

 木材加工の「浮造り(うづくり)」ということば、はじめて知りました。
 木目が浮き出る加工をほどこした板を見たことはありましたが、それを「うづくり」と呼ぶとは知りませんでした。

 これも、ただ薄くひいた板ではない、人工的な手を加えて木目が浮き上がってくるようにする模様だから「浮造り」になるのでしょうね。

 建築や室内装飾に携わっている方にとっては、よく知られた語なのでしょうが、私ははじめて知りました。新しいことばを覚えるのは、こころ楽しいものです。ありがとうございました。
<おわり>

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