2008/11/28
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ミッション伝道師たち(2)missionary position宣教師の立ち場
どんな奥地にも入り込んで、「正しい教え」を宣教する情熱を持っていたキリスト教宣教師のなかには、尊敬すべき人が多いけれど、それでもわたしは「たったひとつの正しいこと」を押しつけられたくはない。
私は心の中に宗教をもつ人を尊重する。けれど、自分が信者になることは無かった。究極のところでどの宗教も「自分の宗教が一番よい」と、主張する。私は、「唯一の真実」や「この宗教だけが最高」という考え方が、性に合わない。神様は、ヤオロズ数え切れないほどいるのがちょうどいい。蟻んこの神様とか、象の神様とか、山や川やへっついの神様仏様、、、、
私は、「唯一の正しい方法」や、「これだけが、真実」というのでなく、いいかげんでもいいので、「あれもこれも、お好みしだい」でいたい。
性的指向にしても正常位だけが「正しい体位」であるわけではない。
英語のスラングのひとつ「missionary positionミッショナリー・ポジション=宣教師の立ち場」ということばがある。
後背位を「正しくない」と決めつけた宣教師たちが「ただひとつの正しいやり方」と宣教地の人に教えたので、「対面位=正常位」をmissionary positionと呼ぶようになった、という説が流布しているのです。
未開地の人々の「後背位」を目にした宣教師たちが、「これは、犬がツガう時のやり方ではないか。人間は神が決めた正しいやり方で行うべきだ」と教え込んだ、というのです。
おそらくは正当な語源ではなく、話をおもしろおかしく仕立てた「民間語源」というやつだろうと思って調べてみると、はたして相当あやしげな語源でした、、、、。
missionary positionの出ている本を調べたという調査によると、どうやら1948年の「キンゼイ報告」あたりからこの言葉を使いだしたとのこと。アルフレッド・キンゼイ(Alfred Kinsey)が、文化人類学者マリノフスキの表現を引用したというのが初出のようです。マリノフスキの「トロブリアンド諸島のフィールドワーク」に書いてあったとして「missionary position」を「キンゼー報告」その他に引用しはじめたそうですが、、、、。
しかし、文化人類学フィールドワークの手本となったマリノフスキの著作の中には、トロブリアンド諸島の先住民が正常位のことを「宣教師の体位」と呼んでいる、とは書いてなかったということで、キンゼーがなにかのゴシップをマリノフスキの盛名におぶさって記述したのか、キンゼーの創作なのか。
語源というのは、だいたいわけのわからないところに決着するもんなので、、、、
いずれにせよ、キリスト教社会で唯一正しいとされた「正常位」をおちょくる用語として、「missionary position」という言い方が「ポジションを得ていた=ツボにはまった」からこそキンゼー以来広まった、というのが真相らしいです。
日本語では、戦後アメリカ文化流入時期に「ノーマルポジションnormal position」をそのまま翻訳した「正常位」が『家庭の医学・特別編夫婦生活』などで使われるようになったようです。ここらへんも、きちんと用例を調べてみるのが日本語学語彙論研究なのですが、今回は省略。
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ミッション伝道師たち(2)missionary position宣教師の立ち場
どんな奥地にも入り込んで、「正しい教え」を宣教する情熱を持っていたキリスト教宣教師のなかには、尊敬すべき人が多いけれど、それでもわたしは「たったひとつの正しいこと」を押しつけられたくはない。
私は心の中に宗教をもつ人を尊重する。けれど、自分が信者になることは無かった。究極のところでどの宗教も「自分の宗教が一番よい」と、主張する。私は、「唯一の真実」や「この宗教だけが最高」という考え方が、性に合わない。神様は、ヤオロズ数え切れないほどいるのがちょうどいい。蟻んこの神様とか、象の神様とか、山や川やへっついの神様仏様、、、、
私は、「唯一の正しい方法」や、「これだけが、真実」というのでなく、いいかげんでもいいので、「あれもこれも、お好みしだい」でいたい。
性的指向にしても正常位だけが「正しい体位」であるわけではない。
英語のスラングのひとつ「missionary positionミッショナリー・ポジション=宣教師の立ち場」ということばがある。
後背位を「正しくない」と決めつけた宣教師たちが「ただひとつの正しいやり方」と宣教地の人に教えたので、「対面位=正常位」をmissionary positionと呼ぶようになった、という説が流布しているのです。
未開地の人々の「後背位」を目にした宣教師たちが、「これは、犬がツガう時のやり方ではないか。人間は神が決めた正しいやり方で行うべきだ」と教え込んだ、というのです。
おそらくは正当な語源ではなく、話をおもしろおかしく仕立てた「民間語源」というやつだろうと思って調べてみると、はたして相当あやしげな語源でした、、、、。
missionary positionの出ている本を調べたという調査によると、どうやら1948年の「キンゼイ報告」あたりからこの言葉を使いだしたとのこと。アルフレッド・キンゼイ(Alfred Kinsey)が、文化人類学者マリノフスキの表現を引用したというのが初出のようです。マリノフスキの「トロブリアンド諸島のフィールドワーク」に書いてあったとして「missionary position」を「キンゼー報告」その他に引用しはじめたそうですが、、、、。
しかし、文化人類学フィールドワークの手本となったマリノフスキの著作の中には、トロブリアンド諸島の先住民が正常位のことを「宣教師の体位」と呼んでいる、とは書いてなかったということで、キンゼーがなにかのゴシップをマリノフスキの盛名におぶさって記述したのか、キンゼーの創作なのか。
語源というのは、だいたいわけのわからないところに決着するもんなので、、、、
いずれにせよ、キリスト教社会で唯一正しいとされた「正常位」をおちょくる用語として、「missionary position」という言い方が「ポジションを得ていた=ツボにはまった」からこそキンゼー以来広まった、というのが真相らしいです。
日本語では、戦後アメリカ文化流入時期に「ノーマルポジションnormal position」をそのまま翻訳した「正常位」が『家庭の医学・特別編夫婦生活』などで使われるようになったようです。ここらへんも、きちんと用例を調べてみるのが日本語学語彙論研究なのですが、今回は省略。
<つづく>
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