春庭パンセソバージュ

野生の思考パンセソバージュが春の庭で満開です。

ぽかぽか春庭のへぇへぇ平成(へぇなる)言語文化教育研究 平成好色一代女・青房赤房、力の色①

2004-01-26 | インポート
ぽかぽか春庭のへぇへぇ平成(へぇなる)言語文化教育研究
「平成好色一代女・青房赤房、力の色①」
(2004/01/26)

 2004年初場所、横綱朝青龍の優勝。ひとり横綱の重責を果たした。
 春庭、今場所十日目の取り組みを両国国技館で観戦した。両国駅から帰ろうとして、午後4時すぎに突然、思い立っての相撲見物。それで、横綱土俵入りは見ることができなかった。

 1月20日、「会話授業」の一環として江戸東京博物館見学を行った。「文化中級Ⅰ」という教科書の中に「江戸東京博物館紹介」の課があり、留学生を一度連れて行きたいと思っていたのが実現したのだ。2時から2時間くらいかけて江戸ゾーン、東京ゾーンをまわった。

 4時までのクラスなので、4時ちょっとすぎに博物館まえで解散。「先生、いっしょに食事をしませんか」と誘われたが、私には別の計画があった。「近頃では当日券が手にはいるので、お相撲を見ていこうと思います。いっしょに行きませんか」

 しかし、学生たちは相撲終了の6時まで見ていると、次の予定の約束に間に合わないというので、無理には誘わず一人で見にいった。
 大相撲十日目の両国国技館。本場所を国技館で見るのは初めてのこと。初場所はご祝儀気分も満々で、皆早々とよい席を予約する。これまで、当日券で枡席が買えることなどなかった。それが「一人枡席」で観戦できたのだ。

 本場所を両国で見たのははじめてのことだから、ひとり枡席というのがあるってことも、今回初めて知った。枡席といえば、四人がけの席しか知らなかった。
 突然おもいたって一人で見にきたのだから、椅子席と思って窓口で当日券を買おうとした。すると隣の人が「ひとり枡席」を買っていたので、私もまねして買ってみた。これまでは枡席が当日券で買えることなどないことで、「本日は特別」と窓口のお姉さんが言っていた。

 近頃ではテレビ観戦するのさえ希になってしまったが、まだ一般家庭にテレビが普及していない栃若時代、ラジオにかじりついて一喜一憂で応援していた。初代若乃花ファン。小柄な力士が技で勝負するのが好きだった。

 父が「大相撲」という相撲雑誌を定期購読していたので、各部屋の序の口力士まで、きっちりしこ名を知っていた。序の口の中からひとり応援する人を決めて、毎場所星取り表に記入し、その人がだんだん出世していくのを楽しみにしていた小学生時代。
 しかし、栃若時代が終わり、柏鵬時代に移った頃には相撲熱もさめてきた。

 「全国中学生相撲大会」を国技館で見たことがある。勤務していた中学校の相撲部が出場したので、国技館に出かけたのだ。
 そもそも相撲部が存在する中学校など少ない県なので、出場してちょっと勝てば即「県代表」だ。
 このとき出場した子は、地元にある相撲部屋にスカウトされたが、「いくらでも食べられる」に惹かれて入門したものの、けいこや先輩のきびしさに根をあげ、すぐにやめてしまった。

 今は、昔のようなスパルタ一方では新弟子が居つかない。そのためだいぶ先輩のしごきもゆるやかになったというけれど、十両幕内に上がってくる力士たちは、そういう厳しい稽古に耐えてきた人たちなんだろうなあと思って見ている。
 ハワイ、モンゴルやグルジアなどの力士が活躍するのも、厳しさに耐えられる人たちが日本の若者に少なくなったからだろう。

 私が日本語学校で教え始めたころ受け持ったクラスの中にも、おすもうさんがいた。当時の若松部屋(元大関朝潮が設立した部屋)に入門し、相撲の稽古が忙しいからと、教室への出席率はよくなかった。だから、私が直接日本語を教えたのは数回だった。
 彼は、中国本土からの大相撲入りとして話題になり、新聞にも載った。中国名はハンさん、しこ名は「海宝」

 中国ではバスケットの選手をしていたそうだが「バスケットでは食べていけないから」と相撲に入門した。あと一歩のところまで出世していったが、怪我などで関取になるにはいたらなかったようだ。今はどうしているのだろうか。海宝のその後をご存じの方いませんか。

 丸い土俵を新天地として、遠い海の外からやってきた外国人力士にとって、乗り越えるべき壁はさぞかし大きいだろうと思う。言葉の壁文化習慣の壁力の壁。厳しい稽古にたえて、晴れの土俵にあがるガイジン力士たち。

 関取として一人前の力士になる者ばかりではなし。夢やぶれて帰国する者も多い。関取になれなかった者にとっても、日本で力士として研鑽の日々をすごしたことが、どうか、長い人生の中の「すばらしい時代」となっていることを祈っている。

 現在は職業柄、外人力士を応援することにしている。<続く>①~④

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