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春庭パンセソバージュ

野生の思考パンセソバージュが春の庭で満開です。

ニーハオ春庭「蚊の目玉のスープ」

2009-05-05 | インポート
2009/05/05
ニーハオ春庭>中国食材事情(3)蚊の目玉のスープ

 さて、今回の食材は、蚊です。「日本と中国の習慣、生活文化の異なる点を書いてきてください」という宿題を出したところ、学生のひとりは「中国では蚊を食べます」と書いてきました。え?蚊?英語のモスキートーのことですか?学生は、にこにこして「はい、中国では食べます。特別な料理です」
 蚊を食べるというのは、学生の説明によると、もともとは雲南省の少数民族料理だったらしい。それが四川料理にとりいれられたのだといいます。
 開高健は、世界食べ歩きの記録『最後の晩餐』に「蚊の目玉のスープ」を紹介しています。開高によると、世界で最たる珍味と言えるのが、四川料理の「蚊の目玉のスープ」
 これは、どんな料理かというと。

 コウモリのたくさんいる洞窟で蚊を食べるコウモリの糞を集め、それを水で洗う。蝙蝠の餌の蚊、眼玉だけは、固いキチン質なので消化されずに残っていて、それを集めてスープ仕立てとする。これが風味よく、コリコリとした食感が絶品だというだというのですが、、、、、

 中国薬膳3千年の伝統によれば、「蚊の目玉」は、漢方薬「夜明砂ヤメイシャ」として昔から薬効ありとされており、この漢方薬を使ったスープを「夜明菜心湯」、「夜明谷精湯」と呼ぶのだそうです。
 漢方薬「夜明砂(ヤメイシャ)」は、漢方薬の中国古典『本草備要』や『血証論』には、薬効が次のように書かれています。

 蝙蝠屎也 食蚊 砂皆蚊眼 故治目疾」『本草備要』、「蝙蝠食蚊而眼不化 其屎為夜明砂」『醫方集解』、「夜明砂 是蚊被蝙蝠食後所化之糞 蚊食人血 蝙蝠食蚊 故糞能去血」『血証論』
 日本語訳(春庭の拙訳なので、間違っている部分があるかもしれませんが)
「コウモリが蚊を食べると、糞中に砂のように固い目玉が残る。夜の明かりに見える砂のような目玉は、目の病に薬効がある。また血行に薬効がある」

 蝙蝠の糞の中にある蚊の目玉が風味がよい、というのは、理解できます。世界で一番高価なコーヒー豆、「コピルアック」というインドネシア産のコーヒー豆があります。ルアック(イタチ・狸に近い動物)がコーヒー豆を食べる。ルアックの糞を集め、消化されずに糞の中に残っていた豆を洗って使う。ルアックの体内で半ば発酵した豆は、特別な風味があるとされ、たいへん貴重品です。私はコピルアックを一回しか飲んだことがありません。

 蚊の目玉も、蝙蝠の体を通過することで、特別な風味をもつだろうと想像されます。辛いモノが苦手な私、日頃は町中の四川料理店にはあまり入ることがないのですが、機会があって、メニューに「夜明砂湯」があったら、注文してみます。高そうですね。

 今のところ食べるしか楽しみがないので、連日食べ物の話を続けています。
 昼ご飯は、大学職員食堂(大学から食券を無料でもらっている)で食べるか、宿舎食堂のランチ打包(ダーパオ=テイクアウト)です。宿舎のランチは、一食6元(90円)で、主食は米飯か蒸しパン(饅頭マントウ)かを選ぶ。おかず3品のうち、一品は肉か魚の料理。二品は野菜料理。家常菜と呼ばれている東北地方家庭料理です。

 ピーマン(青椒チンジャオ)と茄子(チエズ)ジャガイモ(土豆)を炒めた「地三鮮」、ジャガイモを糸のように細く千切りにしたものとセロリの炒め物、卵とトマトの炒め物などが私のお気に入り。卵は高いので、ごちそう食材になります。私は蚊の目玉より、鶏の玉子のほうが食べたい。
 次回は卵について。

<つづく>

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