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柳沢きみお「瑠璃色ゼネレーション」・「愛人」・「寝物語」

2011年04月03日 | 柳沢きみお作品

<pink>柳沢きみお「瑠璃色ゼネレーション」・「愛人」・「寝物語」</pink>


前回に引き続き、柳沢きみお氏の作品、今回は成年向け作品より3作ほど紹介してみようかと思います。
柳沢氏の「中年男性」の悲哀や不倫、生き様といったものをを描いた作品には傑作が多く、特にこの80年代に描かれた3作はその代表作といって良いでしょう。
3作とも「大人のドラマ」を見事に描ききっています。


 

① 「瑠璃色ゼネレーション」 (★★★★☆)

 30代の倦怠期夫婦、「深町 良」と「さえこ」、それぞれの「不倫」を描いたストーリーで、特に「良」と「横田」とのメインストーリー以外に、脇役である「井原」と数々の女性が織りなすサイドストーリーにも味があります。
結果的に「良」は、本編終了後の単行本書き下ろし部分で「子はかすがい」ということになって元の鞘に収まりますが、ラスト部分の「この頃よく横田を想い出す。もう一人の俺が現れることを恐れながらもどこかで待っている・・・・・。」というくだりは凄く説得力がありました。




   

 この頃の氏のタッチは少年漫画から成年漫画への過渡期で、ギャグ漫画時代の稚拙さがやや残ってはいますが、後の完成期のタッチより私は好きですね。
特に女性キャラには稚拙さの中に不思議な魅力を感じます。
主人公の不倫相手の「横田」は、どことなく「翔んだカップル」の「絵里」と似たイメージがありまして、何となくメーテル似の「杉村」、そして「絵里」、と並んで、私のお気に入りキャラクターの一人です。
共通点は3人とも「直情的」で理性にとらわれない行動をするということでしょうか。
どうしても理屈や理性に縛られてしまう自分にとっては、この3人は憧れの女性なのです。


 

② 「愛人」 (★★★★☆)

 本作はそれぞれに妻子ある中年男性の「不倫」を描く3部構成になっており、1部では「木村」が愛人バンクの女子大生「真理」と既婚の後輩社員である「友子」、2部では「久保」が部下の妻である「今日子」と、、3部では「本城」がテレクラで知り合った女子高生「果歩」とそれぞれよこしまな愛に溺れ墜ちていく顛末を描いたストーリーで、結果的には「木村」は元の鞘に戻り、「久保」は墜ちるところまで墜ち、「本城」は新しい生活を見つけていくといった結末になっています。


 漫画という仮想非現実空間ですが、「瑠璃色ゼネレーション」にしても、「愛人」にしても、「浮気」や「不倫」といった現実の暮らしの中では容易には起こり難いファクターをスリリングに疑似体験でき、また人の生き様というものを考えさせてくれる傑作だと思います。  


 

③ 「寝物語」 (★★★★☆)

 男の幸福とは何か、ということを一般会社員の「広枝」、銀行マンである「深沢」、フリー作家の「吉村」といった3人の中年男が探し求めるストーリーで、展開を時にシリアス、時にコミカルに描いたバランスの良い作品で、完成度が高い傑作です。
常に暗い影を落として作品を終わる氏の作品にしては珍しく、「広枝」と「深沢」はハッピーエンド、「吉村」はコミカルな中の現状変わらず、といった何とはない明るさの中に終わっています。
また、第6巻の中盤以降はこの3人以外の人物のサイドラブエピソードになっていて、これまた楽しい展開です。


 

 次回は「グッドガール」、「妻をめとらば」、「俺には俺の歌がある」あたりをご紹介してみようかと思っています。

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