goo blog サービス終了のお知らせ 

HARIKYU'S CAMERA CLUB 「BLOG 」

「HARIKYU'S CAMERA CLUB」の別室写真館です。
お気軽にお楽しみ下さい。

柳沢きみお「翔んだカップル」

2011年04月03日 | 柳沢きみお作品

柳沢きみお「翔んだカップル」


首都圏の輪番停電の日、特に夜間停電の際には何もできず・・・・・、ということで、20年も前に読みまくった「柳沢きみお」の作品をローソクの灯の下、再び引っぱり出して読んでみましたが、懐かしさも手伝ってつい夢中になってしまいました。
そこで、氏の作品を2~3回に分けて、いくつかご紹介してみましょう。


 

① 「翔んだカップル」 (★★★★☆)

 昭和53年から「週間少年マガジン」に連載されていた氏の代表作で、「翔んだ・・・・・」というのは当時の流行語にもなった。
私が大学生の頃にヒットした作品だが、当時の学生の愛読書はというと「プレイボーイ」に「平凡パンチ」、それに「POPEYE」、「東スメvだったから、リアルタイムの連載時は、その絵の稚拙さと同時に、「今さら高校生のラブコメなんて読めるか!!」というスタンスから全然見向きもしなかった作品である。
それが30才を過ぎてからひょんな事で読み出し、意図に反して夢中になってしまった作品でもある。


    

 本作は少年誌にドロドロとした「恋愛」を持ち込んだ初めての作品で、序盤の頃の「勇介」と「圭」の奇妙な同居生活に「緒田キャプテン」が押しかけてくるあたりは完全なコメディだが、「杉村秋美」がストレートに勇介に接近してくるあたりからは俄然面白くなり、スケ番「絵里」との同居や「中山」の自殺、「杉村」との肉体関係、陸上部の「島田キャプテン」の自殺あたりの息を呑む展開は最高!といって良い。

 上の画像の左端のページ、「杉村」の「今夜はとまっていって。・・・・・そして私をだいて。」などというセリフは当時の少年誌の読者にとっては(当時の少年誌の読者は中・高生が中心である。)まったくセンセーショナルなものだったろう。
全体を通じて、この付近のストーリーが「翔んだカップル」全編のクライマックスでもある。
絵の稚拙さはともかく、ストーリー漫画家「柳沢きみお」として面目躍如の作品だと思う。

 反面、「勇介」と「圭」の関係は終始はっきりしないまま、最終回でもウヤムヤに終わってしまった。
「尻切れトンボ」が氏の作品の最大の欠点なのだが、この作品でも例に漏れていないのが残念だ。


 

 こちらは新装丁本のコミックス。
「続・翔んだカップル」の書き下ろし刊行と同時に発刊されたもので、旧講談社コミックスの方は全15巻だが、こちらでは13巻にまとまっている。


② 「新・翔んだカップル」 (★★★☆☆)

 大学生になった「勇介」と「圭」を描いたストーリーで、ついに「勇介」と「圭」が結ばれる場面もある。
その後、「勇介」に片思いしてしまう女子高生ができたり、「圭」と上級生の「藤木」がデキそうになってしまったりと、多少のドラマ性は持たせているが、それほどパッとする展開ではない。
ボクシングに反対する「圭」に対し、ラストでは「勇介」が青年海外協力隊に出向く決心をした、というところで、これまた「勇介」と「圭」の関係は曖昧なままに終わっている。


 

③ 「続・翔んだカップル」 (★★☆☆☆)

 プロボクサーになった「勇介」と令嬢「寺島瞳」との生活を中心に描いているが、あまりボクシングは好きではないのでストーリーにものめりこめなかった。
本編中で「勇介」と「圭」は一度離別、30才目前の「勇介」と「圭」が町中で再会したところで終わっている。

 近年、50代になった「勇介」と「圭」、「杉村」を描いた「翔んだカップル21」 という作品が発表されているようだが、私はまだ読んだことはない。
ここでは「勇介」と「杉村」が再婚しているらしいが、機会があれば読んでみたいものだ。


 

 次回は氏の青年向け作品、「瑠璃色ゼネレーション」、「愛人」、「寝物語」をご紹介しようかと思っています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。