はる祭りの夜陣痛に耐え
五番目の子供を産んだ母
昼からのどかに神楽が聞こえ
辺りの桜は満開に
遅い高原の春の夜
産婆は五番目には油断して
祝いの部屋で酒と馳走に囲まれ
はや中年の産婦を忘れ
酒と祭りに酔うありさま
これも桜の魔力なのか
辛かったお産の思い出を
桜見ながら話した母は
それでもあなたは可愛かった
と何度も言うのでした
一斉に春の花の咲く明るい卯月
みんなが憂さを忘れてさくらに酔う世界に何でかぴょんと
飛び出した日のことなど思い浮かべ
エンドウ豆の花と菜の花と
御神楽の単調な音色と亡き母の
ふっくら手の甲を思い浮かべる
さくら月
五番目の子供を産んだ母
昼からのどかに神楽が聞こえ
辺りの桜は満開に
遅い高原の春の夜
産婆は五番目には油断して
祝いの部屋で酒と馳走に囲まれ
はや中年の産婦を忘れ
酒と祭りに酔うありさま
これも桜の魔力なのか
辛かったお産の思い出を
桜見ながら話した母は
それでもあなたは可愛かった
と何度も言うのでした
一斉に春の花の咲く明るい卯月
みんなが憂さを忘れてさくらに酔う世界に何でかぴょんと
飛び出した日のことなど思い浮かべ
エンドウ豆の花と菜の花と
御神楽の単調な音色と亡き母の
ふっくら手の甲を思い浮かべる
さくら月