はなこのアンテナ@無知の知

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ハマコーの暴言から考えたこと

2008年09月02日 | はなこのMEMO
ジョディ・フォスターの映画最新作「幸せの1ページ」の公開前イベントに、ハマコーこと浜田幸一元国会議員(9月5日で80歳!)が、女優の川島なお美と共に登場した。

そこで、女性の幸せとは?の問いに、こともあろうにハマコー氏は傍らの川島なお美に向かって「あなたは子供を産まなさそうだね。3人以上子供を産まない女性は国家にとって必要な女性じゃない」とのたまった。あまりの暴言に川島なお美は一瞬言葉を失たものの、「それでは一度に三つ子を産むことにします」と切り返した(この切り返しはなかなか賢い!でも内心、相当ショックだったのでは?)。

このやりとりを偶然、テレビのワイドショーで目にしたけれど、近年希にみる暴言ですね。ハマコー氏って、人間としての思いやりの欠片もない人のようだ。さる議員の「女性は産む機械」発言より酷い。名指しで隣の川島なお美個人を役立たず呼ばわりしたのだから。司会者も慌てていた。

ジョディ・フォスターの主演映画はどうみても女性をターゲットにしているので、こんなことで話題になっては逆効果ですね。ハマコー氏をイベントに招いた配給会社の見識を疑う。この件に対する、番組コメンテーターの八塩元テレ東アナのとんちんかんなコメントにもガッカリした。同じ女性として、もっとこの暴言に対して、キッチリと苦言を呈するべきでしょう。昼のワイドショーに出演している自分の立場がわかっていない、という意味で八塩さん、あなたは賢くない。あ~こんな時、米原万里さんなら、どんな言葉で斬り込んだのだろう?

日本で、どうしてここまで少子化が進んだのか?第一には豊かな社会に育った女性にとって、今や「子供を産み育むこと」は人生における数ある選択肢のひとつに過ぎないからでしょう。「子育て」はイコール「女性の幸せ」ではない。子育てを心から楽しめないと思っている人も少なくないのでは?(因みに経済アナリストの勝間和代さんはその最新著書の中で、少子化の原因のひとつとして「長時間勤務」を挙げている)

まず社会が子供や妊婦に優しくない。今の日本は大人・老人中心の社会で、子育てし易い社会とは言えない。専業主婦でも、子供がひとり、もしくはふたり、という人は案外多い。ふたり目不妊の問題もあるけれど、一人目の子育てに精神的な負担感を感じて躊躇っているうちに、出産の時期を逃してしまった人も少なくない。それは親兄弟など、あらゆる局面で頼れる人が身近にいない人に多いように思う(←実はこのことが足かせとなって、専業主婦と言う生き方を選択している人も少なくない)。

一方で、仕事と子育てを両立したいと思っている女性は、元々本人が持っている生命エネルギーが潤沢なのか、環境さえ整えば子供は2人以上欲しいと言う人が多い。多くの女性が社会進出するのは時代の要請でもあり、それに併せて社会のシステムも、女性が働きながらでも子供を産み育てられるよう変わる必要がある。その為には、例えば子育て世代の国会議員が、子育てし易い社会の法整備に、率先して関わることが大事なのではないか?

産休を切り上げて早期に職務復帰したなんて、諸手を挙げて賞賛される話ではないと思う(←これは誰にでも可能なことではないから。こうしたレアケースでは、全面的にバックアップしてくれる身内の存在が大きいのでは?)。寧ろ最大公約数の要望として、出産後ブランクを経ても、女性が安心して社会復帰できる体制作り(もちろん男性を巻き込んだ形で)に取り組んで欲しいと思う(理想としては、さまざまな選択肢が用意された社会であって欲しい)。

そもそも「子供は社会で育てる」というコンセンサスが、今の日本の社会ではできていない。日本の教育予算はGNP比で他の先進国に劣っているとも言われている。それが子育て世代の教育費負担の増大にもつながっている。現状は子育ての負担を、その親にばかり押しつけていると言って良い。親は限られた収入で、我が子により良い教育を授けたいと思ったら、子供の数を減らすしかない(逆に、子供が中卒で社会に出なければならない子沢山の家庭ってどうなんだろう?子供は本当にその進路を望んでいるのか?テレビでしばしば取り上げられる大家族の子供たちは、本当に幸せなのか?)。

さらに、不妊の問題もある。子供はやはり授かりものである。欲しくても授からない女性は、私の周りにも少なくない。その割合は年々増えているとも聞く。不妊に悩む女性の声を政府はもっと拾い上げて、政策に反映させるべきだと思う(もちろん例えば不妊治療の金銭的援助に際して、出産を望む女性に対して強制力や圧力が働いてはならない)。

また、日本のような経済発展を遂げた成熟社会では、女性である前にひとりの人間としての自己実現を優先させ、敢えて子供を持たないと言う生き方の選択もあり得る。産まない選択をした女性は、別の形で社会貢献しているケースが多い。その選択を誰が責められよう?。それこそ「産めよ、増やせよ」と国家が出産を管理することは、人権侵害に当たると言えるでしょう。その意味でも、ハマコー氏の人権感覚を疑います。

【後日改めて思ったこと】

ヒトという種がこの地球上に誕生してから、既に繁栄のピークは過ぎて、今は徐々に滅びに向かっているところでしょうか?日本が少子高齢化に突き進んでいるのは、その最先端を行っていると言えるのかもしれません。

最近、キアヌ・リーブス主演の映画の予告編で、印象的なフレーズを耳にしました。
「地球が滅びれば、人間も滅びる。しかし人間が滅びれば、地球は助かる」
悲しいけれど、それは事実かもしれない。少子高齢化は、「”国家”や”人間社会”の繁栄」と言う括りで考えれば由々しき事態なのだろうけれど、地球という生命体の上に誕生したひとつの種の存亡と言う視点で見れば、自然の摂理に適った方向なのかもしれない。抗っても、その流れは止められない。おそらく…
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