はなこのアンテナ@無知の知

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国立新美術館の内覧会に行って来ました

2006年11月20日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)
来年1月20日(土)開館式典、翌21日(日)より一般公開予定の国立新美術館の内覧会に行って来ました。

国立新美術館はコレクションを持たず、企画展の実施や美術団体への会場貸し出しに並行して、美術資料の収集や美術教育普及事業を展開して行くようです。だから英語名が"Art Gallery"ではなく"Art Center"なんですね。
   
(ポスターより、一部)
建物正面。波打つような流線型が美しい外観。ガラス張り<ガラスカーテンウォール>(一部側面&背面はコンクリート壁)で、直射日光を避けるために、グリーン色の固定ルーバーがガラス面に対して垂直に取り付けられている。

手前の大きな庇に円筒形の建物は傘立て専用の建物。1000本の傘が収納可能。デザイン的には面白いが、構造的に実用時には混雑の可能性がなきにしもあらず?その上部に尖って見えるのは、美術館のエントランス部分。

建物の設計は世界的に有名な建築家黒川紀章氏。氏にとって、美術館の設計は本作で27作目に当たるらしい(因みに氏の処女作は埼玉県立近代美術館)。施工は鹿島建設と清水建設のJV。もちろん免震構造。(利用者としては、災害時にガラスの飛散が心配ではある)

ガラススウォールに取り付けられたルーバー


正門側から見た外観。左手に円錐形のエントランス(木の裏側)。そのさらに左に傘立て専用の建物。地上からの出入りは、この正門からとなると思うが、開館時には東京メトロ千代田線乃木坂駅6番出口と直結するので(写真から見えない建物の裏側)、電車で来た人は正面玄関ではなく、そこから入館する人が多いのではないだろうか?

地下鉄千代田線6番出口からの眺め
左手にチケットボックスがあり、そこでチケットを購入後、写真奥のエントランスから入館する。


円錐形の正面エントランス天井を見上げてみた。なんとその勾配に合わせて、自動ドアも傾いている!建築家のこだわりのひとつらしい。

4階まで吹き抜けのアトリウム
とにかく天井が高い!(主婦感覚として)空調コストが嵩みそう。こだわりのデザイナーズ・チェアが適宜配置されている。

カフェもある。ソフトドリンク200円は値頃感アリ。


天井高5mの展示室。可動壁は天井のレールに沿って可動。設置時には下部をアジャスターで固定(つっぱり壁様)。

この美術館の総展示スペースは14,000㎡にのぼる。1000㎡の展示室が10室。2000㎡の企画展示室が2室。


天井高8mの展示室。3階建て建物がスッポリはいる高さ。人物(身長1.7m)と比べるとその高さがわかる。壁を横切るようにピクチャーレールが取り付けられている(右)。これで、上下に作品を展示できる。

高い天井で温かい空気が下まで届かないことなどから、空調設備は床面に設置されている(左写真が送風口)。スカートが送風で舞い上がることはないのでご安心を。

右写真は、アート・ライブラリー(資料室)、研修室、講堂で四方を取り囲んだピロティに設えられた竹林。屋上緑化の一環。


講堂内部。こだわりの音響設備でメディア・アートにも対応。レセプションなど多目的用途を考慮して固定座席にはせず、スタッキング可能なデザイナーズ・チェアを使用。意匠性・実用性の両面で、什器類にもかなりのこだわりが窺える。波形がユニークな取っ手も建物の形状に合わせたものらしい。

建物内外の色彩計画も、周辺環境(青山公園、桜並木など)との調和(黒川建築の基本コンセプト=共生)を図るため、白、ステンレス、茶、緋色、緑で統一。

3階エスカレーターからの眺め
奥のコーン状の建築物は内部が厨房になっており、天井部分には世界的に有名なフランス料理店ポール・ボキューズが開店予定。完全にオープンスタイルなので、外部からの視線や音を遮るものがなく、落ち着いて食事ができるのかが少々気になるところ。

”ハコモノ”は建物の完成がゴールなのではなく、その後の運営をどうするかが何より重要である。

経済不況に陥れば真っ先に文化予算が削減されるこの国では、公共施設と言えどもコスト意識が厳しく問われると言えるだろう。

さらに新美術館について詳しく知りたい方は、下記の公式サイトで。

国立新美術館
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