はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

女神(ミューズ)たちの奏でる音楽にしばし浸る…

2015年09月08日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)


 日曜日にミューザ川崎で、「女神(ミューズ)たちの"愛のうた"」と題するリサイタルを聴いて来ました。

 出演はヴァイオリニストの千住真理子さん、ピアニストの仲道郁代さん、チェリストの長谷川陽子さんの三人です。

 私は弾ける楽器ひとつない、楽譜すらまともに読めない、まったくの音楽音痴?ですが、聴くのは大好きheart自宅にはクラッシクのアルバムだけでも30枚ばかり持っています。

 中でもお気に入りは、カール・ミュヒンガー指揮、シュトゥットガルト室内管弦楽団演奏のバッハ作『音楽のささげもの』、カール・リヒター演奏のバッハ作『トッカータとフーガ』、イ・ムジチ合奏団演奏のヴィヴァルディ作『調和の幻想』で、『調和の幻想』は携帯電話にも保存して、バスや電車で移動中に、それを聴きながら本を読んでいます。その優美なメロディは、周りの喧騒をかき消すのにうってつけです。

 近年はある友人の影響を受け、一時期、(さすがに予算の問題もあって劇場には足を運べないけれど)米メトロポリタン劇場のオペラの映画館上映に嵌って、よく見に行っていました。見た中ではイリーナ・ガランチャ主演の『カルメン』が最も印象に残っています。

 今回も生協でチケットを購入したので割安で買えたのですが、座席はなんとbikkuri4階席で後方は壁、と言う席でした。演奏者は写真の通り、豆粒にしか見えませんhorori(かと言って、オペラグラスを持参するのも変だし、とにかく音響が大丈夫なのか心配でしたhorori結果的に音響はそれほど問題もなく、後方に誰も座っていないので気楽でした)

 以前、東京オペラシティで行われた千住真理子さんのリサイタルの時は、2階席ながら舞台袖に近く、ステージ上の彼女の表情はもちろん、二の腕の筋肉が躍動するのも目の当たりに出来ました。あれは感動的でした。

chain2009年の千住真理子さんリサイタルの感想

 生協で買うと、チケットが到着するまで座席がどの位置なのか分からないと言うのがトホホなところ。今やさまざまな会員サービスを利用すれば、一般販売より早く、良い席を、割安で確保できるのかもしれませんが、そうすれば欲深い私のこと、見たいものが多過ぎて収拾がつかなくなりそうです。だから、生協のチラシで運任せに、タイミングの合うリサイタルを買うだけに留めています。

 さて、今回のプログラムは以下の通り。

 ①バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番より プレリュード(チェロ)
 ②ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ(チェロ+ピアノ)
 ③ショパン:幻想即興曲
  ショパン:夜想曲第20番 レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ
  ショパン:12の練習曲より 第12番 革命 (以上すべてピアノ)
 ④マスネ:タイスの瞑想曲(ヴァイオリン+ピアノ)
 ⑤バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番よりプレリュード
  (ヴァイオリン)
 ⑥イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番より 幻影(ヴァイオリン)
 
  【20分間の休憩】

 ⑦チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 偉大な芸術家の思い出に
  (ヴァイオリン+チェロ+ピアノ)

 素人の私でも知っている有名な曲が殆どながら、「タイスの瞑想曲」以外は生演奏を聴くのは初めてだったので、とても楽しかったです。演奏前に曲について、演奏者が短い解説をして下さったのも、すごく鑑賞の助けになりました。配られたプログラムにも作曲家の柿沼唯氏による曲目解説があり、今、それを読みながら改めて演奏を思い出し、心地よい余韻に浸っています。

 三人のソロとデュオとトリオを取り混ぜたプログラムは、それぞれの個性を堪能できるだけでなく、三人のアンサンブルの美しさも存分に味あわせてくれました。また曲間の三人のやりとりも、三人の関係性が垣間見えて楽しかった。違うジャンルだからこそ、演奏家同士として、また良きライバルとしての程よい距離が保てるのかなと思いました(それにしても、演奏家も才色兼備ですね。三者三様に美しく魅力的でした)

 イザイと言う作曲家は知らなかったのですが、今回の曲は、彼がバッハを私淑し、その幻影を追いながら作った曲だと言う千住さんの解説に、なるほどと思いながら聴き入りました。演奏者の肉声で楽曲についての解説を聞いた後にその演奏を聴く、と言うのは、ただ自宅でアルバムを聴くのでは得られない感慨をもたらすようです。

 私は今回も、第一には千住さん目当てでチケットを購入したのですが、やはりストラディヴァリウス「デュランティ」の音色の素晴らしさには何度聴いても感動を覚えます。特に高音部の冴えが素晴らしい。

 その名器の潜在能力を引き出しているのが、ヴァイオリニスト千住さんの優れた演奏力と名器に注ぐ深い愛情なのでしょう。以前テレビ番組のインタビューで、千住さんはデュランティから片時も離れないと仰っていました。新幹線での単独移動の際もトイレにデュランティを携え、コンサート後も関係者との付き合いは極力断って外食せずにホテルに直行し、デュランティの無事を確認してから、食事はコンビニ弁当で済ませてしまうほど。千住さんの徹底ぶりに「デュランティが千住さんを選んだのかもしれませんね」「すべてはヴァイオリンの為に!」とテレビ司会者も感嘆していました。

 しかし、今回トリオで演奏したチャイコフスキーの楽曲で、千住さんが珍しく演奏の手を止めてしまいました。そして再度音の確認をするかのような仕草を見せました。ピアノの仲道さんも一瞬千住さんを見遣り怪訝な表情をされましたが、その後何事もなかったかのように演奏を再開しました。何が起きたのでしょう?40分以上の長丁場のトリオ演奏で、途中ご自分の演奏に納得の行かない部分があったんでしょうか?何にしても珍しいことです。

 千住家の家訓は「趣味は持つな」と言うことで、学問一途だった父親(工学者)の「ひとつの道を究めるなら趣味になど構ってはおれない」との教えを守り、一途にヴァイオリニストとしての生き方を貫く千住さんは、一般人とは違う次元で生きておられると思います。この記事を書くに当たり、久しぶりに録画しておいたインタビュー番組を見てみると、やはり美しい筋肉質な二の腕でした。あの二の腕が躍動し、デュランティから至高の音色が紡がれるのだなと、改めて感じ入ったのでした。

 奇しくも千住さんは私と同い年(だから何だと言われそうですが…同世代の第一線での活躍は励まされるものです。自分とはかけ離れ過ぎていて、嫉妬の対象にすらなりません)。今年は演奏家デビュー40周年bikkuriとのことで、全国各地で精力的に演奏活動をされています。また近いうちにどこかで、その演奏を拝聴できたらなあ…
 
 この分だと、千住さんの追っかけになりそうです…wink

         何だか、今回の写真はどれもピンボケで…ase
 

chain読んで参考になった記事:
 千住真理子考
 千住真理子考2
 「アンチの存在は人気がある証拠。」なるほど…bikkuri


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