Aさんの飼い猫は10歳のシャム猫で、普段は大人しく賢いのだが、
車に乗った途端に人格ならぬ猫格が豹変する。
とんでもないオタケビを発し、運転しているAさんは、後部座席のケージの中にいる猫に向かって「うるさい!!」と一喝し、私に「かまわないでね、甘えているだけなんだから」という。
猫には猫の分があるので、それをちゃんと納得させなければいけないという。
べったり甘えさせるのは、よくない。
厳しくするべきところは、厳しくしなきゃいけないと言うのであった。
その後、Aさんは喘息になり猫の毛もよくないということになって、
Mさんに飼ってもらうことになった。
ところがMさんに飼われてからというもの、あんなにしゃきっとしていた猫が、
でろでろになったとAさんはこぼしていた。
食べ物の好き嫌いを言うようになり、気にいったものが出て来るまで、ずーっと鳴いている。
「私が飼って居た時は、やったものは何でも食べたし、もっときりっとしてたのに」
Aさんは嘆く。
猫用のおやつまで買って可愛がってるMさんに「あなたが甘やかすからよ」と怒るのである。
「あーー、あんたは堕落したわねぇ」猫に向かっていうAさんの言葉を聞いた私は
「きっと、何をやってもすぐ怒られるから、君は怖くて体が硬直してたんだよね」と言ってやった。
私達3人が明け方まで話をしていると猫はずっとそばにいる。
「あんた、先に寝ればいいじゃないの」
Mさんが笑いながら言うので猫の方を見ると
目の玉が上にいき舟までこいでいるというのに、
きちんと、お座りをしたまま、その場を離れようとしない。
とにかく人が好きなのだ。
つづく
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