はるのほっぺ

備忘録です。仕事柄、政治の話題が中心です。

「常識の政治」を行い「普通の国・日本」を実現する 小沢ビジョン

2006年09月12日 | 政治

 今日の午後には、無投票で民主党代表に再選されることになる小沢一郎。昨日の会見で「小沢ビジョン」を表明しました。自民党総裁候補、特に安倍晋三を意識して考えられた基本理念や基本政策は、小沢ブレーンの政治学者や有識者からのアドバイスを受けているように思えました。聞こえのいい言い回しに終始し、また持論を封印して安倍との違いだけを強調しています。まずは読売新聞に掲載されていた基本理念と基本政策を紹介してみます。

<基本理念>
◆「共生」を理念とし「公正な国・日本」を作る
◆「常識の政治」を行い「普通の国・日本」を実現する

<基本政策>
【教育】
▽現行の教育基本法に代わり「日本国教育基本法」を制定▽義務教育は国が最終責任を負う▽高校まで義務教育化し、中高一貫教育▽就学年齢を5歳に引き下げ
▽幼稚園、保育所など子育て制度の一元化
【社会保障・雇用】
▽「子ども手当」、「親手当」の創設▽非管理職の勤労者は終身雇用が原則
▽年金を一元化▽1人6万円(月額)をめどに支給する基礎年金と所得比例年金の2階建てに統一消費税は福祉目的税化
【農政】
国民の生活に必要な最低限のカロリーは、国内で生産▽基幹農産物には「個別(戸別)所得補償制度」を創設
【地方】
▽個別補助金は全廃し、自主財源として一括交付▽全国の市町村を300程度に集約▽特殊法人などの廃止、民営化
【外交・安全保障】
▽自衛権は個別的であれ、集団的であれ、急迫不正の侵害を受けた場合に限り行使▽国連平和活動への積極参加
【憲法】
日本国憲法に非常事態の規定がないのをはじめ、法制度に重大な欠陥が存在していることから、欠陥を速やかに是正

 小沢一郎の頭の中は、参院選の勝利しかないですから、基本理念や基本政策などは本当は表明さえもしたくなかったでしょう。かつての持論であった「農業自給率100%」、「所得税・住民税の半減」、「国連待機部隊構想」は盛り込まれていません。
何か一つでも明らかにしてしまうと、その矛盾を自民党や党内のアンチ小沢グループに追求されてしまいますから用心しています。
 記者会見の冒頭では、
日本の仕組みを一新することで、日本の良さを保守する
安定感のある信頼される『常識の政治』」に変えて「普通の国」を実現する
代表としての使命は政権交代。来年の参院選で自公を過半数割れに追い込むことを最大の目標に頑張っていきたい」と強調していたようです。
 小沢一郎に「一新する」チャンスを国民が与えた細川政権時代がありました。それをさっさと放り出したことを忘れてしまっているのでしょう。それとも「今度は放り出さない」という覚悟があるのでしょうか。しかし、二度目の「一新」を期待するのは、その当時のことを記憶している人たちだけです。また「常識の政治」を標榜するならば、小沢自らがそのお手本をしめすことでしょう。まずは党内の会議、国会に出席するところから始めてもらいましょう。
 昨日の日本記者クラブでの総裁選の討論会で、総裁候補3人に「小沢一郎をどう思うか」という質問がありました。3人は以下のように語っています。
安倍晋三
「東京都知事選で自民党幹事長として、磯村(尚徳)さんを出して負けた人、という印象だ」「旧田中派全盛時代の人、『古い永田町』の代表選手だと思う
谷垣禎一
「かつて小沢氏が主張したことは、だいたい小泉内閣でやってしまった」
麻生太郎
「ご本人は大久保利通を目指していると言うが、資質は西郷隆盛の方ではないか」「解体屋としては優秀だけど、建築屋として優秀か?」
 こうした批判的な人物評価が下る政治家であることは、本人のこれまでの行動に責任があります。もちろんこうした批判に対し、小沢一郎は「ご批判は不徳の致すところだ。人様の論評はしない」と感想を語っていましたが、内心は怒り心頭でしょう。
 「人様の論評をする」のが政治家・小沢一郎の常識のハズです。

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