はるのほっぺ

備忘録です。仕事柄、政治の話題が中心です。

「同じ方向を向いている」と勘違いしている安倍晋三

2006年09月11日 | 政治
 写真は、昨年7月5日の衆院本会議の郵政民営化関連法案の採決で、投票の様子を見守る小泉首相です。結局、後の参院本会議で法案が否決されて、衆院解散・総選挙という流れになりました。
 今日は自民党総裁選が告示されて初めての日曜日。本当ならば、NHK、フジテレビ、テレビ朝日と報道番組があり、3人の総裁候補者が出演し自らの政策をアピールするタイミングでした。しかし、外遊中の小泉首相の代理で安倍晋三に職務があり、総裁選のルールで3人揃わない場合はテレビ出演を申し合わせる約束で、候補者そろい踏みの番組が出来なかったようです。内容に苦慮したテレビ局では、自民党側から復党へのラブコールが起こり始めている、郵政民営化造反組の代表格である亀井静香、平沼赳夫が出演していました。
 二人のコメントは以下のようなもの。
亀井静香
「郵政事業民営化の見直しなどをやるなら、是々非々で新政権を支えることもある」
平沼赳夫
「小泉純一郎首相は法案に反対した議員の選挙区に『刺客』を立てて抹殺しようという暴挙に出た。われわれに前非を悔いて礼を尽くすなら、話を聞く用意がある」

 なんともふてぶてしい発言の連発です。この二人にここまで言われて自民党側も悔しくないのでしょうか。野田聖子に至ってはテレビ朝日の取材に「いつでもスタンバイOK」というコメントをしています。
 郵政民営化は小泉純一郎の個人的な公約として片づけて、自民党としては来年の参院選を考えて「融通無碍」ぶりを発揮するのでしょうか。「郵政民営化」は手段であって、小泉の本当の目的は「敵対勢力の一掃」「派閥の解体」にあっただけと結論づける風潮も出始めているようです。こうした迷走を自民党が始めてしまったら、小沢一郎が「引っかかったな」と高笑いしそうです。
 冒頭の写真を使ったのは、あの時の真剣な表情は、小泉首相一人のものではなく、賛成した自民党の議員たちにも責任があることを再考してもらいたいからです。造反した面々、棄権・欠席して逃げた面々をもう一度確認(郵政国会:wiki)するべきです。棄権・欠席して逃げた面々でも、平気で「安倍みこし」を担ごうとしている輩もいて要注意、とても信頼を置ける存在ではありません。
 自民党の理論で復党を認めることになっても、自民党の常識は有権者の非常識になってしまいます。せっかく、小泉総裁の5年で変化を遂げつつあったのに森総裁時代の末期的な自民党の姿に戻ってしまいます。
 仮に「復党への含み」が、官邸主導か安倍側近のあげたアドバルーンだとしたら大したものです。思い出すのは、造反組の八代英太の処遇を巡り、世論の批判を利用したことです。公明党への配慮のため八代英太を比例ブロックに名簿搭載するという報道を意図的に流し、世論の批判を楯にして八代を切り捨てました。これと同じように造反組の面々に対して、“決して自民党へは戻れない”という引導を渡そうとしていると考えるのは無理があるでしょうか。
 安倍晋三が本気で復党を認める判断を下し、来年の参院選で民主党に負けたら、政権は短期で終わってしまうと思います。「小泉の郵政民営化」と同じように、「安倍の復党承認」として個人的政治判断と批判され、みこしを担いだふりをしている議員たちから引きづり降ろされるでしょう。
 「同じ方向を向いているなら、しっかりと協力していく道も当然考えるべきだ」などと軽率に発言する安倍晋三の軽さが気になります。「同じ方向を向いている」人は少ないはずです。「同じ方向へ向かせる」ことに成功した唯一の政治家が小泉首相なのかもしれません。
 民主党は崩壊への一本道を爆走中ですが、小泉後の自民党は分岐点に立っています。

応援のクリックをお願いします。