ベネズエラのチャベス大統領は、強烈な反米主義で世界の「異端児」と言われてきた。ブッシュ前米大統領を「悪魔」とののしり、旧宗主国スペインの前首相をファシスト呼ばわりする。その好き放題に、スペイン国王が「黙れ」としかったこともあった。
そのチャベス大統領がこのところ、気持ち悪いほど「良い子」になっている。今月初め日本を訪問したときには、麻生首相との野球談議で、WBC優勝の日本を巧みにヨイショする始末だ。さらに「日本と強力な同盟国になりたい」という発言まで飛び出した。
極めつきはカリブ海のトリニダード・トバゴでのオバマ米大統領との「対話」だ。米州機構総会に出席するオバマ氏に本を贈呈したうえ握手を求めた。前日には「米国の友人となりたい」とまで語ったといい、オバマ氏も笑顔で手を握り返したそうだ。
輸出の約9割を占める石油が値下がりした。それもあって「敵対国家との対話」を掲げるオバマ大統領の登場を、米国などと関係修復する機にしようということだろう。興味深いのはこの「宿敵」から秋波を受けた米国内に、握手に応じた大統領への批判が起きていることである。
特に野党の共和党からは「握手は相手に利用される」と手厳しい。大統領側は「(チャベス氏とは)同意しない点が多いと明確にしている」と応じ、思わぬ論戦となった。間をとって「握手はいいが、笑顔は控えるべきだった」という意見まであるという。
「握手ひとつでそこまで」と笑う人もいるかもしれない。だが難敵ばかり相手の米外交は、隅々にまで神経を使っているということだろう。北方領土問題で、早々と「3・5島」などの「妥協案」が飛び出す日本の外交もそうあってほしいが。
産経抄 産経新聞 4/26
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