なんとか当たらないものかと楽しみにしていたが、生来のクジ運のなさで、はずれてしまった。裁判員制度スタートまで1カ月を切ったが、「あなたが裁判員の候補者に選ばれました」との通知はこなかった。
30万人近い有権者に通知が届いたそうだが、あくまでも候補者だ。1公判につき6人の裁判員に選ばれるためには、裁判長の面接という難関がある。法廷でネタの一つや二つ拾えるのでは、と邪心みえみえの小欄などはとてもお眼鏡にかなうまい。
思想信条や多忙のため、やりたくないという人も結構多い。最高裁が公表した「辞退理由として考慮されるケース」には、派遣労働者や幼児のいる共働き夫婦などのほか、麻雀(マージャン)店のプロ麻雀師というのまであった。「店や地方の大会が年に20回ある」からだそうだが、普通のサラリーマンやOLだって忙しい。
最高裁は、公判前整理手続きによって争点や証拠が整理され、約7割の裁判が3日以内に終わるはずなので、重い負担にはならない、と宣伝している。ただ、これは実際にやってみないとわからない。
きのう和歌山毒物カレー事件の最高裁判決があったが、初公判から実に10年もかかった。裁判員がかかわることになる1審だけでも3年半以上費やしている。むろん、新制度ではスピードアップされるだろうが、逆の不安も出てくる。
もし弁護士がすご腕で、被告が涙ながらに無実を訴えたら…。自白がなく、状況証拠だけで起訴された被告に裁判員は短期間で「死刑」の判断を下せるだろうか。世の中には天才的な詐話師もいる。小欄には、彼ら彼女らのウソを法廷で見破る自信はない。司法を身近なものにする裁判員制度の意義は大いに認めるが、やっぱりはずれて良かった。
産経抄 産経新聞 4/22
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