吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

昭和初期の大阪 三十二

2006年09月26日 05時42分31秒 | 玄界灘を越えて
昭和初期の大阪  三十二

 金谷点柱(こんたにてんちゅう)
 …こんたには母ちゃんの金光とよう似とる名前やな…
 …金光さんは神様じゃき、たかまがはらに住みよる神様じゃけん…
 母はまいあさ鈴をチンチンしてたかまがはらにかむずましますかむろぎの…と眼を細うして神棚におがんでいる。
 …チョンチュおんちゃんも金光さんの名前をつけたんやろ?…
 …お前にはまだ分からんけん、金光さんと関係はない、金のつくのは朝鮮の名前で一番  多い名前じゃき…
 …ふーん、ちょうせんの人は欲張った名前がすきなんや!…
 …そんなこと言うたらあかんぜよ!てんちゅうさんは身分のとうとい出じゃき…
 …そうやそうや、チョンチュウおんちゃんは右太エ門や!…
 ぼくは母ちゃんに貰ろうたタンキリ飴を紙に包んでウメちゃんちへ行った。
 きのう住吉に行く途中、碁会所まえの木の葉にコガネムシがぎょうさんとまっているのを見つけたのだ。
 どこからやってきたんやろう、ビー玉よりもっと綺麗に羽がひかっている。
 いっぴきが金色の羽をまっすぐ上にたてたとおもったら中のやわらかい羽がプロペラみたいにうごいて空へとんでいった。
 コガネムシはトンボといっしょや!羽をこっそりかくす頭のええムシとわかった。
 …ウメちゃん!ラポやミンミンせみと金むしとどっちの頭がええやろ?…
 …コ、コ、コ、ガネや、き、き、きーんがつつつくさかい!…
 ぼくは分かった。
 あたまのええコガネムシはぼくが近ずいても知らん顔してうごかないのは死んだふりしてるんやと分かった。