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フィギュアスケート

2010-02-26 13:03:53 | 日記
昨夜の女子フィギュアスケートのフリーの演技は圧巻だった。
これまでのオリンピックで最高ではないだろうか。
SPフリーともにほぼ完璧な演技を見せたキム・ヨナは先月、プレッシャーについてこう書いた。
「プレッシャーは自分の周りにいる人々から来るのではない。勝てなかったら韓国の人全員に背を向けられてしまう。勝つ以外に道が無い。それがプレッシャーだ。」
SP後の軽いガッツポーズからは読み取れなかった彼女の心情が、フリーの演技の後で明らかとなる。
涙が止まらない。

「やっとこの日が来た。」
インタビューに答えて彼女はそう言った。
この言葉に全てが凝縮されている。

まだ20歳にもならない彼女が重圧に耐えて成し遂げた偉業はきっと語り継がれる。

SPでは浅田真央がSPは苦手だという考えを捨てたほうが良いと思われるほど素晴らしい演技をして高得点をたたき出した。
スケートリンクがざわめいていた。
キム・ヨナはそこに登場して観客を演技開始前に自分の世界に引き戻した。
曲がかかる前にすでに勝負が始まっているのだ。

だが、このフリーでの演技順のあやはSPの比ではない。
キム・ヨナの演舞の余韻でまだどよめきが残っている中に登場した浅田真央。
さらに史上最高得点を大幅に更新したという事実も重い。
全てが完璧だったとしても5点差はひっくり返らないかも知れない。

浅田真央はキム・ヨナと同じく国民の期待を背負っている。
こういった重圧の中でトリプルアクセルに2回挑戦した彼女の気持ちに拍手を送りたい。
勿論、成功することにも意義はあるが、まずはチャレンジ精神だ。

そして彼女は見事に着氷を決める。
これで彼女は歴史に名を残した。
胸を張って銀メダルを受け取って欲しい。

この二人のハイレベルでの戦いはこれから語り継がれるだろう。

銅メダルのロシェットは観ていて痛々しかった。
アメリカの解説者は涙声だった。
母親を亡くした彼女をサポートするために過去のオリンピック出場者が駆けつけた。
オリンピック直前に婚約者が自殺するという事件を乗り越えた選手も含まれていた。
とはいえ、心理的に乱れた状態であの演技を見せた彼女には脱帽する。
ダン・ジャンセンも1988年のオリンピックを振り返り、情緒的に不安定になるといかに体が言うことを聞かないかを説明していた。
ベストを尽くして滑りきった彼女。
フリーの演技後、天に向かってキスを投げていた彼女の姿が忘れられない。

ロシェットの演技後、会場はいつもとは違う雰囲気に包まれていた。
そこにトリとして登場したのが長洲未来。
いまだに、身長の急激な増加によって回転不足となったジャンプを必死で修正している最中だ。
もともとスピンとスピードには定評があった。
その彼女が自己最高の演技を見せた。
それもオリンピックでロシェットの直後に登場して、である。
心からスケートを楽しんでいるように見えた。
彼女のオリンピックがそこにあった。

彼女はこれから世界に出てくるスケーターだと思う。
インタビューでの彼女はいつ見てもハキハキとしていて気持ちが良い。
このまま成長して欲しい。

もう一人のアメリカ代表レイチェル・フラットはフリップの回転不足を指摘されて憮然としていた。
「録画を見直しても回転不足とは思えない」
「世界は基準が違うのだろう」
負け惜しみに聞こえてしまう。
本来、明るくて機転の利いたインタビューで知られている高校生なのだが、余程悔しかったのだろう。

この秋にはスタンフォードに進学する才媛で Honor student だ。
父は医学関係、母は分子生物学者でいわゆる学業を重んじる家庭だそうだ。
このオリンピックは彼女の人生で一つの通過点に過ぎない。
国を肩にしょっているスケーターからみると存分にスケートを楽しめる彼女の環境は羨ましいかも。

一つ気付いたことがある。
NBCが最終組の演技をCM抜きで通して放映したことだ。

一人の演技が終わって次のスケーターが登場する。
ウォームアップの間に点数が公表される。
次の演技に向けて選手が観客を引き込む努力をする。

そういうつなぎの時間の雰囲気を損なわずに伝えようとしていた努力を買いたい。
解説者も、演技中は極力邪魔をしないように気をつけていたようにも感じられた。
コメントは必要最低限に、それも短い言葉で。
ありがとう、NBC。

バンクーバー・オリンピックでの女子フィギュアスケートは最高だっだ。
最終組のスケーター全員に拍手を送りたい。


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