ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ナポレオンの愛人(パオロ・ヴィルツィ監督)

2009-01-26 | Weblog
キャスト:モニカ・ベルッチ、ダニエル・オートゥイユ、エリオ・ジェルマーノ

評価:☆

 コメント:DVDでのみ日本で配給された作品でしかもトレーラーでは不必要なほどモニカ・ベルッチが宣伝されているが、実際にはモニカ・ベルッチは脇役程度の役回りとなる。
  エルバ島で公共事業や道路の整備などに積極的に取り組むナポレオンの姿と「独裁者」としてのナポレオンのイメージは今でもフランス国民の間では共有されている矛盾したイメージかもしれない。映画の途中でコルシカ島を見るナポレオンや、パリの砲兵学校の思い出を語るナポレオンはもちろん歴史上の事実である1815年の「出来事」に終結していく。
 側近のマルシャンの「目」がすべてを物語っており、老獪な政治家でもあるナポレオンとエルバ島の元教員21歳との駆け引きに花をそえる。日本で公開されなかった理由はひとえにフランスの歴史の中で、またイタリアとナポレオンの微妙な関係の中でエルバ島のナポレオンの心中の変化は興味深いものではあるが、日本にとってはあまり関係ない事柄にすぎない…ということだけだろう。
 DVDをレンタルで借りてみるのにはちょうど手ごろで面白い作品だ。また1815年のフランス、イタリアの雰囲気と1830年を描写した「ヴィドック」との対比も面白い。この国の15年の歴史は本当にめまぐるしく変化したのを実感する。 「妻と3歳の息子がいるが息子だけはここにつれてきて欲しい」という台詞はナポレオンの本当の声だったのかもしれないし、それもマルティーノをだますための一つの嘘だったのかもしれない…。

 ストーリー:1814年3月14日、エルバ島にナポレオンが流刑となってやってくるという情報がもたらされる。そして1814年5月18日に英国軍隊の監視とともにナポレオンがエルバ島へ。ジャコバン主義にかぶれていた街の教師マルティーノ・パブッチはエルバ島の島民がナポレオンに影響されていくのを心配すると同時に、独裁者への制裁が必要だとの覚悟を決める。しかしナポレオンの司書として雇用され、ナポレオンの心中を書きとめていくうちに二人の間には微妙な関係が生じてくる。しかしマレンゴの戦いで息子を失ったマルティーノの恩師が意外な行動に…。そして不倫の関係にあったナポリの男爵夫人とナポレオンとの関係も微妙なものに変化していく…。

ヴィドック(ピトフ監督)

2009-01-26 | Weblog
キャスト:ジェラール・ドパルデュー、ギヨーム・カネ、イヨス・サストレ、アンドレ・デュソリエ、エディット・スコブ

評価:☆☆

コメント:前から見たいみたいと思っていたが、近くのレンタルビデオ店には置いておらず、ブックオフでDVDを発見して購入。一気に見終わる。この映画を見る前から「ヴィドック」という私立探偵の先駆けの存在は知っていたが、ここまで神格化されるほどの知名度がフランスにはあったのだと認識。
 内容はミステリーというよりもSFやホラーに近い内容だが、時代設定が1830年の荒れた雰囲気のパリというだけで、なにか胸騒ぎのするような展開だ。
 映画音楽にさまざまなクラシック音楽が用いられているのにも好感がもてる。ただアクション・シーンはまだ「マトリクス」が公開される前ということもあっていまひとつの迫力だ。もし香港映画からアクションシーンを輸入できていたら、もっと面白い作品になったことだろう。
 1830年パリといえば、ルイ18世、シャルル10世の王政復古政策でフランス一般市民の不満が抑圧されていた時代。ドラクロアの「民衆を導く自由の女神」もこの時期がモデルとなっている。ルイ18世は子供がいなかったのでシャルル10世が即位したわけだが、とにかくやることがむちゃくちゃで、亡命貴族への援助資金を法制度化(つまり一般市民の税金は海外の貴族に報酬として与えられる)や議会解散などの勅令を出そうとする。
 映画の中では警察庁長官とその取り巻きがシャルル10世のその意向を聞いて「あと数時間でパリは武装地帯になる…」と絶句する場面がでてくるが、超王党派のシャルル10世の独断専行ぶりがうかがわれる1シーンになっている。映画の中には「カタコンベ」らしき地下道も現れ、さらにガラス工場、プロシア軍の脅威などもさりげなく描写。サービス満点の「客観的描写」の中でうかびあがる「貧困」があるゆえに成立した謎の「失踪事件」と「連続殺人事件」、そして王政復古で腐敗した貴族の「活動」ぶりが描写されていく…。

ストーリー:武器商人ベルモン、科学者の軍に親しい2人が相次いで「雷」にうたれて事故死。警察庁長官は事件性を感じ、かつては警察で働いていた私立探偵ヴィドックに捜査を依頼。しかしヴィドックもまた謎の「仮面の男」によってガラス工場で命を落としてしまう。ヴィドックから伝記の執筆を依頼された作家はヴィドックの足取りをおい、独自の捜査を始めるが…。