ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

トゥームレイダー(サイモン・ウエスト監督)

2009-01-12 | Weblog
キャスト:アンジョリーナ・ジョリー、イアン・グレン、ノア・テイラー、ダニエル・クレイグ、ジョン・ボイト、リチャード・ジョンソン

評価:☆

コメント:とにかくアンジョリーナ・ジョリーは素晴らしい。映画は非常にしょうもないのだが、スタントマンを酷使しつつもアンジョリーナ・ジョリーの運動神経の良さを映画はまた引き出してくれている。
 映画はいわゆる「インディ・ジョーンズ女性版」といったところで、考古学をやりつつお宝もいただくという微妙なお仕事。しかし、どうやら貴族の階級らしく執事もいれば83も部屋のある大邸宅にも住んでいる。

 ただし常につきまとうのは「死」の影で、「月のピラミッド」の写真がでてくれば「死者の道の奥」と連想が働くようにいたるところに死者の国への「入り口」が画面にでてくる。  
 ストーリーも荒唐無稽で、光の民と自称する秘密結社イルミナティの評議会の様子がイタリア・ベニスで出てくるのだが、もともとこの秘密結社には途中で政治的活動をあまりやらないフリーメーソンに不満を抱いた分子が途中参加したという事情がある。そのせいかピラミッドや「全智の眼」があちこちにまた映像として繰り返し画面に映し出される。

 最後はロシアのシベリアの様子が映し出されるが、ツンドラってこういうことなのか…と思うほど独特の「ぬかるみ」状態になっており、ロケーション撮影だったらしくアンジョリーナ・ジョリーも船の上からツンドラを見下ろしているシーンがある。「トライアングルのパワー」などイルミナティやフリーメーソンといった秘密結社独特のキーワードが出てくるとともに、「死者に会うのはとても危険なこと」というテーマと「洞窟」というテーマも反復される。  

 この映画で一つのキーとなるのが時計だ。 「時計…それは見るものに時刻を示すだけでなく離れた場所や家の中にも鐘で時刻を告げてくれる」(ジョバンニ・トルテッリ)という言葉のごとく、ララ・クロフトは「鐘」の音で5,000年ぶりの「時刻」を知る。
 しかし後にララ・クロフトはその時計を壊してしまうのだが、それはおそらく機械時計が発明されたのは13世紀末の数十年間、おそらくは西欧では1270年代でヨーロッパ北部という説があることをララは知っていたからではないか(中国では10世紀に機械仕掛けの時計はあったが)。
 デジタルな時計は「時間」を連続体としてではなく、細かな「時間」が集積した不連続体と考える。ララはデジタルな時計を壊して、時間が連続体としてうごめく5,000年前以上の世界観に立ち戻る。適役が「アリステレス以前の資料も…」と発言するシーンがあるが、ギリシア哲学は理性による判断を重視したので、それよりももっと昔の切れ目なく時間が流れる時代に映画は回帰していく。切れ目のない流れは時に交じり合ったり曲がったりするので、アンジョリーナ・ジョリーとジョン・ボイドの共演シーンはそうした世界観からすれば当然発生しうるシーンだ。

 時計を発明したのは占星術師か僧侶ではないかという説が有力なので「惑星直列」状態が引き金になるというのもそれなりの根拠はある。  

 スポーツも武道も、そして博学な知識をもつララはいわば「浮遊するインテリゲンチャ」(マンハイム)を現代によみがえらせたキャラクターだ。18世紀や19世紀には想像もしない形で、しかも主人公が女性というあたりに「今」を感じる。

ストーリー:秘密結社イルミナティは惑星直列を前にして、失われたマヤ文明のさらに前の文明でパワーをもっていたピラミッドの破片とキーストーンを探索する。悪魔を信仰し独特の独裁世界をめざす彼らにとってピラミッドパワーはかなり魅力的なアイテムだったが、ララの父親もまたそのピラミッドの破片を追い、1985年から行方不明になっていた。そんな中、英国のララの大邸宅に夜中に時計が鐘を鳴らしだす…。