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金魚日和

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異形の美

2012年11月15日 | 本・作家

Nikon D90 +AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED


その昔、
『ロボコップ演芸』で一世を風靡したのは『吹越満(ふきこしみつる)』氏。
ギーガシャん ギーガシャん
ギーギー  ブルルルルっ バスバス。

その吹越氏とギーガシャん、
字面&リズム感は似ているもののブルルルルっ、
全くのギーギー、別人であるのがバスバス『舟越桂(ふなこしかつら)』氏だ。

ドンガシャン ドンガシャン ドンガシャン ドンガシャン!

…この記事は元ネタを知らないと少しもギーガシャん面白く無いな。って事で、【youtube】


先の日曜日、とある喫茶店のトイレで恐怖した後、
小牧市にあるメナード美術館に『舟越桂展』を観に行った。

舟越氏の作品を簡潔に説明すれば、《木材を寄せ、削り、磨き、着彩した彫像》である。
彫刻家として活動を始めた比較的初期の作品~1988年発表の『冬の本』~で氏を知ったわけだが、
恥ずかしながら実際の作品を目にするのははじめてである。
期待とトイレ内での恐怖を引きずりながら会場に足を踏み入れた。
 

最近の作品に近い『スフィンクス』のシリーズが出迎える【展示室1】を抜けると、
初期の作品が集まった【展示室2】、
『月の降る森』だけが飾られた【ミニギャラリー】を挟むように、
おもちゃや絵本を展示した【展示室3】と、最近の作品が展示された【展示室4】が配されている。
※さらに奥へ進むと、舟越氏がセレクトした収蔵絵画が展示してある【展示室5】もあります。
 個人的にはこの展示がものすごく面白かった:シーレ大好き◎


写真やモニター越しでは解らなかった/見えなかったモノが、ソコにはあった。

木でなければならない理由。
着彩の効果。
生き物として『眼』が持っている記号性の高さ。
  

先に上げた《木材を寄せ、削り、磨き、着彩した彫像》
という説明は、実際の作品を目にした事が無い人間の説明であり、
今となっては《木材を寄せ、削り、磨き、着彩して命をまとわせた彫像》と表記すべきだと感じる。


生きてはいないが、命の切れ端を身にまとっている作品。


「体温は低いが外気温と同じでは無い」
「呼吸器官は無いが血液は循環しているかもしれない」
「脳内で結像することは無いが目には何かが映っていそうだ」と思わせる程度の生命力・生命感。

それらは《本物そっくりにツクラレテいるから》という次元とは根本的に異なっている。 


《木材を寄せ、削り、磨き、着彩して命をまとわせた》舟越作品は、
《死亡したニンゲンに色々なモノくっつけて再生させた『ロボコップ』》に似ているのかもしれないバスバスバスっ。
  

結論:感じ方には個人差がある

展示期間は残り10日。「名前は知ってるけど実物を観たことが無い人」はダッシュすべき。