現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

「愛の賛歌」は結婚式で歌っていいの?

2016-10-08 18:32:01 | 虚無僧日記

久々に結婚式での尺八演奏を頼まれた。

リクエスト曲は、定番の『愛の賛歌』。

でもこの曲も、結婚式にふさわしいとはいえない。

歌詞は、恋人のプロボクサー「マルセル・セルダン」が飛行機事故で

亡くなったのを悼んで作られたと言われてきたが、セルダンの生前に

書かれた物であることが判明している。だが、だがだが

恋人「セルダン」には妻子があった。不倫関係に終止符を打つ為に

書いたものだそうだ。じゃじゃじゃじや~ん。

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原曲の訳詩
[Hymne A L'amour - 愛の賛歌]  作詞 エディット・ピアフ

青空が崩れ落ちてきてもいいの
大地が裂けてもかまわない
もしあなたが私を愛してくれるなら
世の中のことなど どうだっていいわ
愛に満たされた朝を迎えられるかぎり
私の体があなたの手の下で喜びに震えるかぎり
どんな困難だって平気よ
あなたが愛してくれるから

この世の果てまでも行きましょう
髪もブロンドに染めましょう
もしあなたが望むなら
月を取りにも行きましょう
運命だって盗んでくるわ
もしあなたがそうしろと言うなら

祖国だって棄てられる
友達だって裏切れる
もしあなたがそれを望むなら
世間の人に笑われても
何だってするわ
もしあなたがそうしろと言うなら

いつの日か限りある命があなたを私から引き離し
あなたが遠く去ってしまっても
あなたが私を愛してくれる限り なんでもないわ
だって そうなったら私だって死んでしまうから
そうして私達の永遠の未来を手に入れるの
限りない青空の中で
何も問題のない天国で
私たちは愛し合うの
神様は愛し合っている二人を結び合わせてくれるわ


My Way マイ・ウェイ 歌詞

2016-10-08 18:31:20 | 虚無僧日記

https://youtu.be/TtSicB7oNdc

 

結婚式で「My Way」の尺八演奏を頼まれた。

念のため、Youtubeを見、Wikipediaで検索すると、

ポール・アンカやフランク・シナトラが歌った英語の詩は、なんと、

「(結婚)式が近づいた」ではない「死期が近づいた男の悔いなき語り」。

なのだそうだ。結婚式で歌っていいものやら。はて?

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マイ・ウェイ

そして今や終わりが近づいている
僕は人生の終幕を迎えているのだ
友よ、はっきりと言おう

僕は精一杯生きてきた。 どんな道も避けずに通った
少しは後悔することもあったよ
目を逸らさずにするべきことはしたし
自分で立てた人生の設計図をもとに
更に、それ以上のことを自分なりの方法で成し遂げたよ

だが君が知っての通り
自分の力を超えたことをして持て余したこともあった
だけどどんな時でも、僕はひるむことなく何にでも立ち向かい、
自分の道を生きてきた

僕は愛し、笑い、泣いた
欲しいものは手に入れたけれど、失うこともあった
そして今や涙は乾き、楽しい思いで一杯になったのを感じるよ

男として何をすればいいのか、何を得れば良かったのか?
僕の人生の履歴は僕が戦いながらも
自分の信ずるままに生きてきた証なのだ!

そうさ、それが僕の生きる道だったのさ

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こんな内容とは知らなかった。が、今の私の心境そのものだ。
したいことは何でもしてきた。欲しい物はすべて手に入れた。
 
そして今、捨てきれないモノに囲まれて四苦八苦している。

ネプチューン氏のおかげで

2016-10-02 20:54:16 | 私の尺八遍歴

ネプチユーン氏の『青風』『四人乗り』『五足十三和
十八』などのレッスンを受けていて、難しいフレーズで
「とても無理、できない」とあきらめかけていても、
彼は「大じょうぶ、大じょうぶ、できる。できるヨォ」と、
励ましてくれ、帰る頃にはできるようになっているのです。
1レッスン1万円以上でしたが、それはもうそのくらいの
価値あるレッスンでした。

常にプラス志向。人の悪口や批判は絶対に言わない。
陽気なネプチューンさんに接して、それまで“ネクラ”
だった私は、180度生き方が変わり、それで今日が
あるのです。

ネプチューン氏は、1年に何回かは、ヨーロッパ、東南
アジアの国々で公演をし、尺八を世界に広めてくれました。
彼の尺八を聞いて、尺八を習いたいという外人が、ぞくぞくと
日本に来ました。そして彼を訪ねていくのですが、彼は
忙しいことを理由に、私を紹介してくれたのです。

それで、一時は20人ほどの外国人に尺八を教えていました。

それがまた、視野を広げることになりました。50年前、
私が尺八を始めた頃は、『尺八独習』というテキストに
「尺八は日本人の誇り、不器用に外国人には絶対に吹けない」
なんて書いてあったものですが、50年で、今や尺八は
すっかり「国際的」になり、プロの数は外国人の方が
多いくらいです。技術的にも、日本人をはるかに凌駕して
います。

「回転すし」も、今はイギリスの会社が世界を席捲して
いるとか。日本人が考えもつかないような「ネタ」や
デザインで、ワンパターンの日本は劣勢に立たされています。

尺八も、やたら権威付けているうちに、すっかり外国の
楽器になってしまったようです。


エンターテイナーのネプチューン氏

2016-10-02 20:53:52 | 私の尺八遍歴

ジョン海山ネプチューンはエンターテイナーです。

尺八を逆にして管尻からでも吹きます。
「はい“逆八”ね」。横にして裏孔に口を当て、
横笛のようにも吹きます。「これ横八」。
管尻を叩いて「叩く八」。歌口から数cmだけの
「ミニ尺八」でも曲を吹いてしまいます。
「後ろの人見えますか?、あとでミニきてね」

さらにトロンボーンのような構造の「スライド尺八」。
8孔でドレミファソラシドの音階にした「ドレミ八」。
尺八を吹きながら声も出す。倍音も出す、重音も
出す。とにかく神業のような超絶技巧とジョークで、
観客を虜(とりこ)にしてしまいます。

私の「9孔尺八」を見せると、「は~い、急孔!
エクスプレス、早く吹けていいね」。それでいて
指使いの早さでは私の方が負けるのです。

中継ぎをはずして上下二本に別けてみせ「は~い、
日本(二本)の楽器ですから」と笑いをとる。

変拍子などのリズムがとれないと「勘はあかんよ」。
甲乙を間違えると、「甲(カン)は、アカ~ン」

この曲は『六段』、私は『尺八“ごじょう段(冗談)』。


NHKで「アマチュア・ビデオ・コンテスト」と
いうのがありました。私は、それまでに撮りためていた
ネプチューンさんの「面白映像」とインタビューを
編集して応募し「ドキュメンタリー賞」に輝きました。

「審査結果発表」の時のディレクターが、なんと
「神」氏でした。古典尺八の大御所「神如道」の
息子さんで、現在は、NHKを退職し「神如正」
として、一門を率いている方です。これも不思議な
“ご縁”でした。


「ジョン海山ネプチューン」に学んだこと

2016-10-02 20:53:23 | 私の尺八遍歴

私は、ネプチューン氏のライブやコンサートは大抵
観にいきました。そのパワー、メロデイの美しさ、
超絶技巧にすっかり魅了されたのです。

ある時、コンサートで、最前列に、尺八家が数人
陣取っていました。腕組みをして苦虫を噛み潰した
ような顔でじっと、にらみつけるような目で観て
いるのです。プログラムが一通り終わって、鳴り
止まぬ拍手で、これからアンコールという時、
最前列の数人の“おっさん達”が立ち上がり、
「フン、あんなの尺八じゃないや」と、周りに
聞こえよがしに捨てゼリフを残して 出ていきました。

尺八家の大半はそんな人たちです。自分が習った
師匠の尺八しか認めないのです。ネプチューン氏の
コンサートに来る観客は、尺八家以外の人ばかり
です。尺八家で、彼に師事したのは、私以外に
3人だけでした。

まずネプチューンの尺八からして、普通の尺八と
違うのです。手孔の位置を下げ、手孔の直径が
1.5mmもあります。ですから大きな音が出せるし、
メリ音も楽に出ます。日本人は、旧来の製管法に
こだわり、手孔の位置や大きさを変えるという
発想がありません。

ある時、テレビ局の取材で、私も京都までお供を
しました。テレビ局のディレクターは、あくまで
「変な外人が、日本の伝統文化に憧れて、尺八を
習っている」という取り上げ方しかしようと
しません。彼に紋付袴を着せて、南禅寺で、庭石の
上に座らせて尺八の古典を吹かせる。「はい、石の
上にも3年ネ」。私がコメントを求められて、
「彼のすごいのは、尺八を完全に自分のものとして
しまって、尺八の可能性を格段に広げてくれたこと
です」と言ったのですが、全部カットされてしまい
ました。
あくまで、伝統芸能を習っている立場でなければ
ならなかったのです。

ある番組では、生放送で、ネプチューン氏は冒頭で
「サテンドール」というジャズの曲を吹いたのですが、
司会者は、尺八で吹く曲はすべて日本の古典との
思い込みで、ジャズの曲とは知らず、「ネプチューン
さんは、尺八でジャズもお吹きになるんですね。今度
また機会がありましたら、ぜひジャズの曲を聞かせて
ください」と。ネプチューン氏は「はぁ?」と目を白黒。
「ボク 今吹きましたよォ」と。

日本人の思い込みの強さには、あきれるばかりです。




「ジョン海山ネプチューン」との出会い

2016-10-02 20:52:54 | 私の尺八遍歴

1980年(昭和55)、アメリカ人の尺八奏者、ジョン海山
ネプチューンのアルバム『バンブー』が、文化庁の
芸術祭(レコード部門)で「優秀賞」を受賞したことは
大変な衝撃でした。アメリカ人のレコードが「文化庁
の芸術祭優秀賞」とは何ごとかと、クレームもたくさん
あったように聞きます。

それは、尺八であって尺八でない。彼のオリジナル曲
ばかりでした。「尺八でこんな音が出せるのか、こんな
曲が吹けるのか」とビックリするほど、彼は尺八の
可能性を大きく広げてくれたのです。

それは、伝統にしばられる日本人には不可能なこと
でした。即刻、私はネプチューンに尺八を習うことに
しました。

彼のレッスンは、日本人にとっては斬新で、目から鱗
でした。まず最初はロングトーン。ロツレチを一音ずつ
10秒クレッシェンド、10秒デ・クレッシェンドで20秒。
それを3回ですから1分のロングトーンです。私は一回
20秒がやっとでした。また、一音を8秒、4秒、2秒と
短くしていき、ロツレチハロツレチハヒを徹底的に
練習するのです。考えてみれば、ピアノを習いにいけば、
ドレミファソラシドを毎日何度も弾くわけですから、
「そういう基礎練習が尺八の指導に無いことがおかしい」と
彼は言います。音出しの基礎練習だけで、30分じっくり
やります。彼の音は、側にいると耳をつんざくほどの
パワーです。目一杯の音量を出して練習すると、喉が
焼けるように痛くなってきます。

それから、ドミソミド、レファラソミといったフレーズを
徹底的に練習します。ネプチューンさんは、コードや
フレーズを書いた ぶ厚いテキストを見せてくれ、
「これを500回ずつ吹いた」と言います。働いている人は
一日8時間は仕事しているわけだから、尺八のプロなら
1日8時間吹くのは当然でしょう」と。

私は、ネプチューンさんより尺八歴では10年先輩ですが、
練習量は一日平均したら10分も無いでしょう。練習量の
トータルでは、完全に彼に追い抜かれています。その差が
技量に現れるのは当然でした。