漫画家の「森田拳次」さん。
だめロボット「ボロット」のギャグ漫画『丸出だめ夫』の作者。
終戦の時6歳。満州奉天にいた。翌年、引き揚げ船に乗って帰国するまで大変な苦労をしている。しかし「あんまり辛いことがあると、どっかで切れちゃって。暗い漫画を描いていたらきりがない。明るい方向を向こう」と、笑いあり涙ありのギャグ漫画を描いた。
同じ引揚げ体験者の「赤塚不二夫」も、帰郷してすぐ、妹が餓死した。その時、『かあちゃん、よかったね。かわいいときに死んで。これから先は苦労しないから』と言ったとか。
「バカボンのパパ」の名セリフ「これでいいのだぁ」は、満州の言葉で「没法子(メーファーズ)」。満州育ちの人間は、何があっても受け入れて「しょうがねぇや」になっちゃうと。
「赤塚不二夫」らと「中国引揚げ漫画家の会」を立ち上げ、南京の「南京大虐殺記念館」で作品展を開いた。240万人もの来場者があって、みな、日本人も苦労したことに理解を示してくれた。
開会式で、現地の通訳が「丸出しだめよ」と読んだとか、「ちば てつや」の『明日のジョー』は『あたしのジョー』になってしまったとか。語る写真の顔は、まん丸顔に目を細めて満面の笑み。
悲しみを知っているからこそ、笑って前を向いていこうとする「森田拳次」の笑顔に、人間の強さを感じる。
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