世はまさに「世間虚仮(こけ)=真実でないこと」。
「偽作、偽称、偽証、偽装、偽書、偽造、偽善」と
並べたててみて 気が付いた。「偽」の後にくる字は
なぜか「さしすせそ」の「サ行」が多い。
ま、日本では「偽作」は『古事記』『日本書紀』の昔から。
「記紀」よりも以前に「歴史書」があったとして、創られた
書に『先代旧事本紀』がある。そして、昭和初期に出てきた
『竹内文書』、さらに戦後出てきたのが『東日流(つがる)
外三郡誌』。いずれも、とても一人で創作したとは思えぬ、
膨大な量の書。
その『東日流外三郡誌』を偽作したとされる「和田喜八郎」なる
人物は、ものすごい知識欲で、何でもかんでも日本の古代史に
取り込んでしまう稀代の妄想家だった。彼が創作した4万点にも
およぶ史料?の中には、「福沢諭吉の書簡」というのもあった。
その中身は、『学問のすすめ』の冒頭の一説「天は人の上に
人を造らず、人の下に人を造らず」という万民平等の思想は、
日本の古代にあったもので、「和田家に伝えられた文書の中から
福沢諭吉が借用したもの」とする証文。
明治5、6 年の日付で、大阪から出された手紙だった。
その頃、福沢諭吉は東京在住であったこと、また漢字カタカナ
交じりの書簡文などは無いこと、その他署名に「士族」の
肩書きをつけ、わざわざ花押を添えるなど、まったく福沢諭吉
らしくないものだった。
こうしたことから、和田喜八郎なる人物の創作、偽作説が
徐々に明白にされていったのである。それにしても、よくも
まあ、空想をめぐらすものと驚嘆する。
そういえば、2000年には、旧石器の捏造事件があったっけ。
松下幸之助の「松下電器」でさえ、「まねした電器」などと
言われていた時代があった。今の中国を笑えぬ。
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