当家の祖は「新羅(しんら) 三郎義光」であると伝えられて
いるので、源氏びいきだったが、義光を知れば知るほど、
源氏の血塗られた系譜におぞましさを感じる。
新羅三郎義光は、源氏の棟梁八幡太郎義家の弟である。
義家亡き後、源氏の棟梁の座を奪おうとして、策略をもって
義家の嫡流義忠と義綱を殺すが、陰謀が露見して関東に逃れる。
妻が常陸の国の豪族の娘であったため、常陸に勢力を張って
いった。義光は、甥の義国(足利・新田氏の祖) とも争いを
起こしている。平安末期に源氏が衰退したのは、義光に始まる
一族同士の抗争がすさまじかったからである。
親鸞の母が義朝の娘とするならば、親鸞の祖父義朝は、父
為義を殺している。父親殺しの大罪人だ。叔父にあたる頼朝は
弟の義経を殺す。親鸞の生きた時代は、誰もが平気で人を殺し、
人を欺き蹴落とさなければ生きていけない末法の時代だった。
誰もが「死後は地獄に堕ちる」と懼れていた。だからこそ、
「悪人正機説」が人々の救いとなって、信徒を集めたのだ。
今日いろいろな人が『歎異抄』を解説しているが、そのこと
を五木寛之はしっかり語ってくれている。
しかし、「人を殺さなければ殺される。だから殺していい?。
殺しても救われる。極楽往生できる?」と解釈されては、甚だ
親鸞も困った。『歎異抄』を紐解くのは難しい。
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