現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

大義のために死す

2009-07-24 09:56:56 | 心の問題
歩行マシーンで1時間足を動かしながら、NHKアーカイブス
で「三島由紀夫」を見た。

S20年、勤労学徒で終戦を迎えた三島氏。戦争という体験を
振り返り、あの時代はみな美しかった。大義のために死ぬ
という理由があった。『葉隠れ』で「武士道とは死ぬことと
見つけたり」と説いた著者(山田常朝)も、長生きして畳の上で
死んだ。今の世も「人のために、社会のために死ぬ」という
大義が見出せない。畳の上で自分のためだけに死ぬのは醜い。
と語る三島の顔は異様に不気味だった。

このNHK放映の4年後、1970年(S45)三島由紀夫は自衛隊の
市谷駐屯地で壮絶な割腹自決を遂げた。70年安保闘争に荒れ
た年。私は大学の授業中に、遅刻してきた者からひそひそ話が
流れ、その事件を知った。それまで「三島由紀夫」については、
名前しか知らなかった。

NHKアーカイブス、続いては「川端康成」だった。
対談で三島由紀夫がさかんに川端康成を褒め称えており、無口な
川端康成は「私は怠け者ですから」とはにかむ。その川端康成も
三島の自決から1年半後にガス自殺した。

川端康成は三島が師と仰いでいた人であったが、三島の「盾の会」
には批判的であったという。ノーベル文学賞を受賞し、文壇の重鎮
だった川端康成の自殺理由は明らかでない。三島由紀夫の自決に
動揺していたとも。三島が説いた「老いの恐怖」があったからとも。

三島由紀夫も川端康成にも、私はあえて反発し、無関心を装って
きたが、「死に際、死ぬ大義」、気になる歳となった。


「尺八と一休語りの虚無僧一路」のホームページも見てください。


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