木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●車社会とマイクロ・カーの未来

2008-11-13 19:42:15 | Weblog

新車の売れ行きがいま一つ芳しくないようである。

この間まで破竹の勢いだった世界のトヨタも、今後の売り上げの見通しを大幅修正すると、あっという間に株価はストップ安となった。

アメリカの状況はもっと激しくGMの国家による企業救済さえ囁かれるようになった。

車社会にとって厳しい時代となったようである。

 

先頃2009年のカー・オブ・ザ・イヤー大賞が発表され”トヨタIQ”が受賞した。(上写真)

長さが3mを切るコンパクト・カーで4人乗り。

普通車では世界最小の車で、トヨタ独自の技術に支えられこの時代を見据えた戦略車である。

 

ただこの種の車には先達がいて、2000年に発表されたダイムラーの”スマート”がある。(下写真)

EUの厳しい環境基準を受けて開発されたマイクロ・カーであるが発表当初は売り上げが伸びず評判が良くなかったが、現在は環境重視の追い風で好調のようである。トヨタIQもスマートが当面のライバルとなる。

 

 

経済危機というのは、一種のパラダイム・シフトであり傲慢な人類に神が下す鉄槌のようにも見える。

今回も様々な面で審判が下ったのだろう。

ただその中で人間の欲望、例えば動きたいと言う欲望は、過去にも様々な車の発明を行ってきた。

 

 

二次大戦後の窮乏時に発売されたBMWのバブルカー”イセッタ”、(左)

1950年代後半のスエズ危機で油がなくなり、英国で発表された”オースチン・ミニ”、(中)

元々狭い市街地でそれでも車で走りたいイタリア人が造った”フィアット500”(右)などは、その回答であり、中でもミニやフィアットなどは名車と言ってもよく今でも多くのファンに愛されている。

 

現代の若者たちは、大都市に住み公共交通が発達し、パソコンや携帯に金を使い、車などは余り興味がなくなったようで、現在の車所有者の平均年齢はなんと48歳だと言う。

今の地球環境にはそのほうが良いのかもしれないが、、、。

 

トヨタIQはこの閉塞状況を打破できるだろうか?

多分そこそこ売れるだろうが、果たして次の時代を切り開くようなヒットになるだろうか?

私見を言えばIQはトヨタらしくすべて優等生過ぎて面白い車とは思わない。

私などは、こんな状況の中でもイタリアの様々な小型車のようにユニークで楽しいマイクロ・カーが出来て移動だけでなく、車のもっと違う楽しみ方が出来る事を望みたい。

やるとすれば日本ではホンダだろうか