木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

●軽井沢と菅平の雪

2010-02-05 21:58:23 | Weblog

 

           軽井沢                      菅平

 

今週も何かとあわただしく過ごした週だったが、久し振りに信州の雪を見る機会に恵まれた。

もう10数年前には日常的に訪れていた軽井沢周辺の町も、ここ数年はすっかりご無沙汰で今回は懐かしい道の思い出を辿りながら、雪のある信州でハンドルを握ってきた。

 

軽井沢の駅周辺も随分と変化したが、今回は旧軽井沢にはまったく寄らず、一路中軽井沢へと向かう。

長野オリンピックの前と後では18号沿線の風景も様変わりしたように感じる。

軽井沢でペンションの設計をしていたころは、まだ軽井沢全体が鄙びた印象があり、車でどこへ移動してもリゾート感覚を感じたものだが、今の18号沿線周辺は市街化した普通の町である。

 

レイクニュータウンや、塩沢湖など知らない道に紛れ込んでも何時の間にかたどり着いた記憶があるが、今は案内板に沿っていかないととんでもないところへ行ってしまう感じがする。

信濃追分近辺の浅間山の麓にもかなりな別荘地が広がっている。

もう御代田に近くこのあたりは以前は軽井沢とは言わなかったと思うが、今はカラ松林や白樺に囲まれてかなりの別荘地となっている。

雪はそれほど積ってはいなかった。

 

ある小さなホテルを訪れてきたが、いかにも軽井沢らしいアンティークな西洋風なインテリアの建物であった。

本日中に菅平へ行って帰る予定で、すぐ上越高速道佐久インターへ向かう。

上越高速から見る周辺の山々は、まったく雪がなく太陽が照り付けて春を思わせる天候だった。

 

上田菅平でおり、144号線を菅平へ、 余りのよい天候にスキー場の経営は大丈夫かと心配になるが、菅平の交差点近辺へ来るとやはり雪がある。

菅平は寒いときは北海道より気温が下がると聴いた。

日本で一番寒いとこだとも言う人がいる。流石に雪の上を歩くとひざまで雪の中である。

こんな雪に会うのも久し振りで、眩しい真っ白な雪景色を十分に堪能してきた。

 

夕刻に近づき道路も段々と凍り始めてきたが、エンジンブレーキを使いながら菅平から降りてくる。

昔、黒川さんの事務所にアメリカ製のジープがあって、山に出張する時はジープで出張した。

ある時、厳冬期の鬼押し方面まで行ったところが、路面が凍結していて四輪駆動のジープといえどもあっという間にスリップし、危うく崖に落ちそうになったことがある。

 若いときの危険だが、楽しく懐かしい思い出である。

スイスのシンプロン峠などクローズした道を通り抜け、山越えをするドライブもスリル満点の物だったが、ガードレールのない細い山道を、ローギアでゆっくり上っていく。

眼下には凍りつくような氷河の谷底、、、、。

 

そんな思い出には比較すべくもない安全な道のドライブだったが、懐かしい町並みや山を眺めながらのドライブは、本当に忙中閑で安らぎのひと時を与えてくれた。

旧碓井バイパスの入り口に設計した、私の最初の鉄骨造ペンションを見て帰りたかったが時間がなく、駅前に広がるプリンスホテルの広大な土地の風景と若者向けのショッピングモールの建物を眺めるだけとなってしまった。

 

軽井沢の雪のある心象風景と駅前の現実とのギャップに、経ってしまった時間の空白を思わず感じたものだった。