あの忌まわしい東日本震災後、今日で一ヶ月が経過した。その間まったくこのブログに手をつける気にならなかった。
テレビのニュース、週刊誌や新聞の被害写真や記事を見るたびに今度という今度は言葉を発する空しさというか、それは建築という物体を造ってきた私にとって目の前であれほどの勢いで、住宅や様々な建造物が押し流され破壊されていく様は、自らの存在自体を否定されているようで、言葉を発する気力さえ失ったというのが正直なところだ。
あれから私の仲間たちは、関東地方や東北地方の地震で被害を受けただろう建築物の調査に取り組んできた。
仙台や福島の直接の被害地にはまだ入れないので、その周辺や都内の建築物を調査したが、決定的な被害はないものの都内や横浜市の建築物にもかなりの被害が出てこの震災の広範囲な影響を実感した。
これらはすべて、修復して行かなければならないがその費用だけでも膨大なものだ。
今週からいよいよ本丸の仙台市内に入るようだが、インフラが破壊されている現状ではことはそう簡単ではないが、被災されている方々のことを思えば物の数ではないだろう。
この大変な最中、今日統一地方選の開票が行われている。
私の住まいの神奈川県知事選は、フジテレビの元キャスター黒岩氏と、開成町前町長の露木順一氏の争い。数日前横浜駅前で露木氏の演説を聴いた。
露木氏とはもう8年程前、あしがり郷という地元のまちづくりで、大石内蔵助が敵討ちで上京するとき滞在したという旧家の民家の保存利用の件で協力したことがある。
若くて行動力のある町長さんだった。演説は県の財政改革を目指すもので的を得たものだったが一般の人にどれほど訴えるだろうか心配だった。
私は神奈川県の行政とは様々な接点があり、成り行きを注目していたが、既存政党のすべての支持を取り付けた黒岩氏がやはり勝ったようだ。
河村名古屋市長の破壊的キャンペーンで自治体の抱える問題点や実態が少しづ市民の知るところとなっているが、県という組織の問題は住民が日常的に接するわけではないのでわかりにくいのが実情だと思う。
特に神奈川県のように横浜、川崎、相模原等の政令都市を多く抱える県は色々な問題があり、その意味では地方行政のプロである露木氏に期待したかったが、もう少し時間が掛かるようである。
何もなければこの時期は桜も咲いて、気分もよい時節だがしばらくの間そうも行かないような状況である。
この事態に遭遇し様々な人が色々な事を語っている。今日都知事選に4選を果たした石原慎太郎知事も物書きらしく色々と言葉を発していた。
いささか言葉のむなしさを実感した私自身は、又改めてこの状況の中で自分なりに発すべき言葉を捜し求める努力をしてみたいと思う。