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福島の復興 地域再生へ国が一層の支援を

2012年05月28日 | 読売新聞

福島の復興 地域再生へ国が一層の支援を

 東日本大震災の被害に加え、原子力発電所事故の影響を受けた福島県の復興が難航している。政府は、従来以上に各自治体の立場に寄り添い、腰を据えて支援すべきである。

 3月に成立した福島復興再生特別措置法に基づき、政府は、福島復興再生基本方針の策定作業を進めている。避難住民の帰還、健康調査、医療・福祉、産業振興など幅広い支援策を盛り込む予定で、6月の閣議決定を目指す。

 今なお放射線量の高い地域を抱える福島県の状況は、他の被災県と比べて深刻だ。約16万人が県内外に避難し、7町村が役場機能を他の自治体に移している。

 避難住民が生活基盤を再建し、できるだけ早期に故郷に帰れる環境を整えたい。それには、政府が、より積極的に復興再生事業に関与することが重要である。

 復興庁が3月上旬、復興交付金の第1次分を決定した際、査定が厳しいと、自治体から不満が噴出した。25日の第2次分では一応改善されたが、福島の復興でも、早い段階から自治体と入念に協議を重ねることが必要だ。

 災害対策基本法で警戒区域に指定され、住民の早期帰還が困難な富岡、大熊など4町は、他の土地に役場や学校を一時的に移す「仮の町」構想を公表している。

 だが、「仮の町」の候補であるいわき市は、住宅用地の不足や、人口増に伴う渋滞、ゴミ処理などの負担増を懸念・警戒しており、構想は順調に進んでいない。

 「仮の町」は、従来にない試みで、住民のコミュニティーを維持しつつ、生活を再建する有力な選択肢だ。一定数の住民の同意が得られるなら、自治体任せにせず、政府や県が仲介・調整に動き、財政支援してはどうか。

 総務省が4月に発表した昨年10月現在の人口推計によると、福島県は過去最大の前年比1・93%減で、全国で最も減少した。

 人口流出を抑制するには、雇用の確保が急務だ。東北の中では東京に近いという福島県の地理的優位性や、法人税の減免などの復興特区制度を活用し、企業誘致に知恵を絞ることが大切である。

 政府の基本方針には、福島県に医療の研究開発拠点を整備することが盛り込まれる見通しだ。

 放射線による住民の健康被害を防ぐため、当面の除染活動を急ぐとともに、中長期的に医療分野を重視する必要がある。既存の医療機関の拡充や医師・看護師の確保に加え、先端医療施設の整備にも前向きに取り組みたい。



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