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先が思いやられる原子炉温度計の故障―福島第1原発

2012年02月16日 | ウォール・ストリート・ジャーナル

東京電力は14日、同社の福島第1原発2号機で温度計の1つが上昇していることについて、故障にほぼ間違いないと発表した。

この温度計で示されている温度は上昇を続けているが、今回の発表で、破損した原子炉が再び制御不能になったのでないことが明らかになり、安堵感が広がった。

しかし、温度計の故障によって、原発の事故処理における東電の力がいかに心許ないものかが改めて浮き彫りにされた格好だ。

問題の温度計は第2原子炉の溶け落ちた核燃料の温度を計測する6つの温度計の1つ。この温度計は今月になって異常な動きを示すようになり、福島原発の状況を観察する人々から注視されてきた。第2号機は昨年3月の事故で炉心溶融が起きたと考えられている原子炉の一つだ。

東電は昨年12月、全ての原子炉の温度が100度を大きく下回る水準に低下したことを発表、放射性物質の放出や再臨界の恐れがなくなったと宣言した。しかし今月1日に約50度だった2号機の温度計の1つが5日後に約70度を超える温度を示した。

その後、原子炉の圧力容器への注水量を増やすなど冷却措置と、再臨界を防ぐホウ酸水の注入が実施されたものの、東電は12日、温度計が90度近くまで上昇していると発表した。

そして、14日までにこの温度計が250度前後を示した。一方、同じ高さにある他の二つの温度計は安定して30度前後を示していた。そのため、東電は問題の温度計と他の2つの温度計で数値に差異があることと、水蒸気や放射能レベルの増加など核反応を示す兆候がないことを理由に、温度計につながる回線がどこかで切れたのではないかと判断した。

ただ、第2号機の温度計故障で難しい問題が表面化したのも事実だ。原発事故の発端となった東日本大震災はもとより、それに続いた炉心溶融と爆発など、福島第1原発の設備が悪条件下にあったことを考えれば、機器が故障しても不思議でない。

原子炉の多くでは放射能レベルが依然として高いため、設備機器の交換は言うまでもなく、点検さえほとんど不可能な状態だ。問題の温度計は放射線量の極めて高い第2号機の格納容器内という、まさにそうした状態に置かれている。

東電によると、この種の温度計は通常、定期検査で13カ月ごとに点検および調整が実施されるという。しかし、福島第1原発では、原子炉建屋の漏えいをふさぐのに6年、溶け落ちた燃料の除去作業を始めるのが10年後になると専門家が予想している。そのような点検と調整は不可能だ。

そして、その間に第2号機やその他の破損した原子炉でさらに故障が生じたらどうなるのだろうか。原発の安全性や安定性を判断する上で東電が依存している他の機器が故障したら深刻な状況になるのではないか。

東電は、故障した温度計近辺に設置された30の温度計全てから測定した数値を基に2号機の温度を把握することが出来ると考えている。さらに、原子炉内部の状況を把握する他の方法の検討に全力を尽くしているという。



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