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国会事故調 反省なき菅前首相の脱原発論

2012年05月31日 | 読売新聞

国会事故調 反省なき菅前首相の脱原発論

 東京電力福島第一原子力発電所の事故に対応する政府中枢の混乱と無策ぶりが、改めて明確になった。苦い教訓を生かさねばならない。

 国会の事故調査委員会が、菅前首相、当時の閣僚、佐藤雄平福島県知事らからの聴取を終えた。来月をめどに報告書をまとめる。

 菅氏は、「(経済産業省原子力安全・保安院、東電などから)原子炉の状況についての説明は一切なかった」「手の打ちようがない怖さを感じた」などと述べた。

 当時官房長官だった枝野経産相らも同様の証言をした。

 情報収集と事故対応で中心的な役割を担うはずだった保安院は、職員が早々に原発と首相官邸から退去していた。

 政権の危機管理能力が欠如していたことを露呈したと言える。

 本来なら、政府組織が一丸となって情報を集め、確立した指揮命令系統の下で動くべきだった。

 だが、菅氏は思いもよらない行動に出た。枝野氏の反対を押し切って、ヘリで原発を視察し、担当者に説明を求めた。「(現場に)40分くらいいた」という。それが火急の事態に、責任者の時間を浪費させてしまった。

 佐藤知事が「国が司令塔の役割を果たせなかった」と批判した意味は重い。

 さらに、菅氏は外部の有識者を次々と内閣官房参与に任命し、個人的な助言を求めた。枝野氏が「プラスとは思えない」と批判したのは当然である。

 菅氏が誤った「政治主導」を掲げ、過剰に介入したことが現場に負担をかけ、官僚組織を萎縮させた。猛省すべきだろう。

 真相がなお不明な点もある。

 菅氏は、原発から作業員を全面撤退させるという東電社長の意向を伝えられたと主張した。これに対し、勝俣恒久会長は「事実ではない」と否定している。

 国会事故調は、さらに事実の徹底解明を進める必要がある。

 菅氏は最悪の場合、3000万人の避難が必要だったとした上で「国家崩壊リスクに対応できる確実な安全確保は不可能だ」と述べた。自ら言い出した「脱原発」を正当化したいのだろう。

 しかし、自身の失態を棚に上げて、エネルギー政策に関し、「原子力ムラは深刻な反省もないまま原子力行政の実権を握り続けようとしている」などと自説を振りかざすのは論外である。

 原発再稼働に向けた政府の判断は最終局面を迎えている。菅氏の発言は混乱を拡大しかねない。



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