津波予測の学校、4割が避難訓練せず 文科相が被災3県調査
東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)で、ハザードマップなどで津波の浸水が予測された地域の学校のうち、4割が津波に対する避難訓練を行わず、危機管理マニュアルにも避難行動を明記していなかったことが29日、文部科学省の調査で分かった。防災について日常的に検討・協議していなかった学校も3県全体の4割に上り、改めて学校現場での防災意識の低さが浮かび上がった。
今年1~2月、3県の全小中高校と幼稚園計3160校を対象に、大震災への対応について調査。83%から回答を得た。
津波に関する調査では、津波の浸水が予測されていた地域の学校と実際に津波が到達した学校計149校について分析。死亡・行方不明者が出た学校は30校(20・1%)で、下校中に巻き込まれたケースがもっとも多かった。避難した場所は「校舎の上階や屋上」(35・4%)がもっとも多く、「裏山などの高台」(31・9%)が続いた。
火災や地震を想定した避難訓練は3県の大半の学校で行われていたが、津波の浸水が予測されていた地域の学校で、津波に対する避難訓練の実施率は6割にとどまったほか、危機管理マニュアルに避難行動を明記していたのも6割だった。
産経新聞が2月に全国の教育委員会に行った調査でも、災害マニュアルに津波対策を盛り込む見直しを行っている教委が多く、これらの学校でも見直しが進んでいるとみられる。