電動式器具の手洗い

私が手術室フロアから洗浄室フロアへ異動した直後は、手洗いする器具類はみんな綺麗だった（と思う）。ま、綺麗と言うと語弊があるかもしれないけれど…　少なくとも「血液が付着している！」なんてことはなかった（と思う）。だから「軽く洗い流す感じでいいですよ」と言われていた（と思う）。また、手洗いする器具類には電動式の物がいくつかあり、それらにはスイッチなどが付いているのだが…　私は「下手に動かして壊したらいけない」と思って触れないようにしていた。

ある日、ある電動式器具を手洗いした後に空気圧縮機で「プシューーーッ」と水滴を吹き飛ばしていた時、うっかりスイッチを押してしまったのだが…　なんと！　「ジュワッ」と薄い赤色の液体が出てきたのである。そう、手術時にスイッチの隙間から入り込んでいた血液と手洗い時に入った水が混ざった液体である。もちろん、すぐに私は流し台の方へ戻り、その器具のスイッチを押しまくりながら洗い直した。それ以後、スイッチを含めた可動部分を積極的に動かしながら洗うようになった。

そんな異動当初と比べて、最近は血だらけの器具類が増えたような気がする（多分、気のせいだろう）。当然、そういう器具類は念入りに擦って洗うのだが…　血液などが付着していないのにヌルヌルしている器具類もある。それは…　何だろう？　血液以外の体液？　手術で使用する薬剤？　人体の脂肪分？　あ、いかん…　また“妄想映像”を脳内再生して気分が…　えぇい、ヌルヌルが何であろうと関係ない！　汚れを落とすことに全集中！　無心だ、無の呼吸！（なんじゃそりゃ？　睡眠時は無呼吸かもな。ハハハ…）