新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

彫刻の森美術館⑥ 早春の野に展開するエミリオ・グレコの女性像。イタリアでの思い出と共に

2020-05-09 | 箱根・彫刻の森美術館

次に、人体彫刻の集まるエリアへ進んだ。ここにはイタリア現代彫刻の代表的作家エミリオ・グレコの作品が3体並んでいる。

 まずは「水浴びする女」。山々をバックに思い切り背伸びした姿は何とも爽快。

 女性二人組も熱心に撮影していた。

 「うずくまる女」。こちらは対照的に体を縮こまらせていて、何か苦し気な態勢だ。

 3体目は「腰掛ける女」。

 表情をアップしてみると、こちらは深く物事を思索しているかのような・・・。

グレコはイタリア・オルビエートにあるグレコ美術館で沢山の作品にふれたことがあるので、とても懐かしく鑑賞する時間帯だった。そういえば、仙台市の定禅寺通りにも彼の作品「夏の思い出」があったっけ。

 その先にはピカソ館がある。主にピカソの陶器やデッサンなどを収蔵した館だが、ここは撮影禁止だった。

 近くにひっそりと立っていたもの。「風の歌」と題されたカラフルな風車のような作品。ロバート・マンゴールドの作。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彫刻の森美術館⑤ ステンドグラスの階段から幸せのシンフォニーがあふれ出す

2020-05-05 | 箱根・彫刻の森美術館

 さあ、この美術館一番の目的にようやく到着した。「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」と題された作品。ガブリエル・ロワールの製作だ。

 遠目には特に目立つこともない円筒形の建物のように見える。

 しかし、内部に入った途端に全くの別世界、オールカラーの光景が展開する。

 外壁面はすべてステンドグラス。目くるめくような色彩が外光を取り入れて輝きだす。

 中心部は階段になっており、この螺旋階段をたどって頂上まで上がることが出来る。

 階段部分には足跡模様がつけられていて、これに足を充てて歩けば安心して上下できる。上りと下りは別になっていて、ぶつからないような二重らせん構造だ。

 頂上部分が見えた。外の明かりが漏れてきた。

 ここが頂上スペース。円形の囲みから外に出る。

 下を眺めると、細長い水場がある。ああ、あそこが足湯スペースになっているんだ。

 今度は下り階段を使って地上へ降りて行く。

 以前スマホのテレビcmでここが映されたが、実際に来て体験してみると、まさに幸せ気分があふれる空間なのが実感できた。

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彫刻の森美術館④ なじみの‟ニキちゃん”に挨拶し、懐かしの「乙女の像」で思い出にひたる

2020-05-02 | 箱根・彫刻の森美術館

 出ました! 「ミス ブラックパワー」。

 彫刻の森を初めて訪れたのは、もう何十年も前のことになるが、その時最も印象に残ったのがこの巨大な女性像だった。それから、訪れる度に必ずこの「ミス」には「また来たよ」と挨拶するのが習慣となっている。

 近くでこの像を見ながら母子が話していた。「ママはね、この像をニキちゃんって呼んでるんだよ。あなたも呼んでご覧」。「ニキ、ニキちゃん!」。「そうそう」。

 像の作者はニキ・ド・サン・ファール。私もこれから彼女を「ニキちゃん」と呼ぼうかな。

 こちらはなぜか「ボクシングをする二匹のうさぎ」。タイトルそのままの姿。一般的には優しく従順なように思われがちなうさぎだが「実際にはそれだけじゃない別の面もあるぞ」と言っているような・・・。人間だって一面だけの人なんか一人もいない。

 うさぎの奥に見えたのは、「みちのく」。高村光太郎作。この作品は青森県の十和田湖畔に建てられた「乙女の像」と同じ作品だ。作者の妻智恵子がモデルともいわれている。

 私にとって十和田湖は青春の地。忘れがたい場所なので、しばらくはこの像の前で過ぎ去った日々の思い出にひたってしまった。

 「プリマヴェラ」。峯孝作。プリマヴェラとはイタリア語で春のこと。さあ、ようやく春が来たーと、厚い服を脱ぎ捨てて外に飛び出そうとしているのかなあ。とても刺激的な作品だ。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彫刻の森美術館③ 「神と人との関係」から、「トマトちゃん」が造った大円球まで。

2020-04-28 | 箱根・彫刻の森美術館

 少し歩くと空中に向かって叫んでいるような人のシルエットが現れる。

 一瞬空を飛んでいるのかと思ったら、実は人間が大きな手の平の上に載せられているのがわかる。タイトルは「神の手」。カール・ミレスはこんな形で神と人との関係を表現した。

 その手前の広場には複雑な形をした彫刻が横たわる。

 ジュリアーノ・ヴァンジ作「偉大な物語」。ミケランジェロも愛用したとされるイタリア・カッラーラ産の良質な大理石を25トンも使って完成した大作だ。

 4面すべてに様々な男の生き様が表現される。

 ちょっと哀れにも見える表情の男もしゃがみ込んでいた。

 こちらは「球体を持った球体」。ギザギザに割れ目を見せる黄金の球体。その内部にはもう1つの球体が存在する。確か、このような作品がバチカン美術館の中庭にもあったような・・・。

 作者の名前はアルナルド・ポモドーロ。ポモドーロとはトマトを意味するイタリア語。幼いころから彼は「トマトちゃん」などと呼ばれていたんだろうな。

 ここにもヘンリー・ムーアの作品が。「母と子」。丸みを帯びた人体は、見る者におおらかな温かみを感じさせる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彫刻の森美術館② ロダンの迫力、ヴァンジの哀しみ、デュビュッフェのざわめき・・・・

2020-04-25 | 箱根・彫刻の森美術館

 

 入口から右へ進む。ロダン作のバルザック像がどっかりと立つ。この像は創作当時かなりの問題が起きたものだ。注文を受けて制作したが「まるでジャガイモの袋をかぶせたよう」と嘲笑され、発注先の文芸協会が引き取りを拒否するというスキャンダルに見舞われた。結局自らが引き取り、後にパリのラスパイラス通りに展示された。

 私はパリでその街頭に展示された像と対面したが、早朝の薄暗闇の中だったためか、強烈な迫力で迫ってくる人のイメージが沸き上がったのを今でも覚えている。

 隣にはジュリアーノ・ヴァンジ作「追憶」。不安、あるいは哀しみを抱えた寄る辺なき人のような表情。

 それはイタリアの画家ポントルモの絵や、舟越圭の木彫にも共通するものを感じる。

 対照的に、デュビュッフェの「アルボレザンス」は、まるでフェスを楽しむ観衆のように明るさとざわめきに満ちているなあ。

 ヘンリー・ムーアの「横たわる像」。まさに大地にゆったりと腰を据えて、これから大きな背伸びでもしそうな悠々の時間を思わせる。

 「交差する空間構造」は後藤良二作。遠目で見れば鉄線が規則的に繋がっている鉄条網のようだが、近付くとそれは男性像(黒)と女性像(赤)がそれぞれ72体ずつ手足をつなぎ合った姿であることがわかってくる。

 その形はダイヤモンドの分子構造だとか。見えて来るものが二重三重に変化する意外性満点の作品だ。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする