論文名: Dosing vancomycin in the super obese: less is more
雑誌: J Antimicrob Chemother 2018; 73: 3081–3086
著者名:Ryan L. Crass et al.
要旨
雑誌: J Antimicrob Chemother 2018; 73: 3081–3086
著者名:Ryan L. Crass et al.
要旨
目的
患者・方法
結果
考察
超肥満患者に対するバンコマイシンの初期投与量とモニタリング方法の検討
患者・方法
Study design and patient population
Vancomycin dosing and monitoring
Data collection and management
Pharmacokinetic analysis
Monte Carlo simulation
the Morton Plant Mease Health Care system に所属する4病院
肥満患者 (BMI ≧30 kg/m2)
年齢 18–90 歳
バンコマイシンのpeak・troughを測定した患者を対象
除外: 妊婦・48時間以内に投与終了したもの・腎機能障害・腎機能が不安定
肥満患者 (BMI ≧30 kg/m2)
年齢 18–90 歳
バンコマイシンのpeak・troughを測定した患者を対象
除外: 妊婦・48時間以内に投与終了したもの・腎機能障害・腎機能が不安定
Vancomycin dosing and monitoring
Jul. 2013から肥満患者に対するpeak・ troughを使用したVCM TDMプロトコルが導入→peak: 投与終了後〜1 h ・ trough: 投与前〜30 分
薬物動態のパラメータはSawchuk–Zaske methodで計算
初期投与量はloading doseによりpeakを30-40mg/Lにするように計算(最大 3000 mg)
体内容量は0.8 L/kg of TBW← BMIで層化 (0.52 L/kg (BMI 40–49.9 kg/m2), 0.42 L/kg (BMI ≧50 kg/m2)
維持量はMatzke nomogram equation を使ってelimination rate constantを推定
薬物動態のパラメータはSawchuk–Zaske methodで計算
初期投与量はloading doseによりpeakを30-40mg/Lにするように計算(最大 3000 mg)
体内容量は0.8 L/kg of TBW← BMIで層化 (0.52 L/kg (BMI 40–49.9 kg/m2), 0.42 L/kg (BMI ≧50 kg/m2)
維持量はMatzke nomogram equation を使ってelimination rate constantを推定
Data collection and management
TheraDocVR clinical surveillance software (TheraDoc, Inc., Salt Lake City, UT, USA)で対象患者を同定
電子診療録からデータを抽出
VCM血中濃度はimmunoturbidimetric assayで測定
SCRはIDMS-traceable alkaline picrate-kinetic rate blanked assay (Dimension VistaVR System, Siemens
Healthcare Diagnostics Inc., Newark, DE, USA)で測定
腎機能はCockcroft–Gault equation で計算したCLCRを使用
電子診療録からデータを抽出
VCM血中濃度はimmunoturbidimetric assayで測定
SCRはIDMS-traceable alkaline picrate-kinetic rate blanked assay (Dimension VistaVR System, Siemens
Healthcare Diagnostics Inc., Newark, DE, USA)で測定
腎機能はCockcroft–Gault equation で計算したCLCRを使用
Pharmacokinetic analysis
Population pharmacokinetic analysisはthe nonparametric adaptive grid algorithm を使用 ( PmetricsTM package for the R environment)
base modelはone-compartment systemを使用: zero-order (constant-rate) infusion, first- order elimination.
two-compartment modelはVCMの血中動態を示すのに適していることが示されているが、TDMの計算はone- compartment systemを使用
患者特異的共変量と薬物動態パラメータの評価は線形回帰で行なった
base modelはone-compartment systemを使用: zero-order (constant-rate) infusion, first- order elimination.
two-compartment modelはVCMの血中動態を示すのに適していることが示されているが、TDMの計算はone- compartment systemを使用
患者特異的共変量と薬物動態パラメータの評価は線形回帰で行なった
Monte Carlo simulation
Dosing regimensは1000-subject Monte Carlo simulations で評価
結果
346人
BMI: 30.1–85.7 kg/m2
年齢 19–88 years
TBWにはばらつきが大きい 69.6–293.6kg
身長 132.1–198.1cm
Baseline SCR 平均 1.0mg/dL ( 0.3–2.5mg/dL)
final population modelではVCMクリアランス(CLV)は(age, 血清クレアチニン(SCR), sex, weight)の線形で表すことができた
CLV予測式: CLV = 9.656-0.078 × AGE - 2.009 × SCR + 1.09 × SEX + 0.04 × TBW^0.75 (age: year, SCR: serum creatinine, mg/dL, SEX: 男性1, 女性0, TBW: total body weight, kg)
VCM clearanceが低い患者にはVancomycin loading dosesは AUC0–24 valuesを90%の確率で達成するためには400mg •hr/L必要
loading dosesはAUC24–48 or AUC48–72 で中毒域に達する確率を大きく変えたりはしない(≧700 mg•h/L)
VCM clearanceが2L/hrの患者が 700mg•hr/Lに達する確率を0%にするためには、多くの患者がMICが1mg/Lの場合にAUC/MICが>400を達成できなくなる
BMI: 30.1–85.7 kg/m2
年齢 19–88 years
TBWにはばらつきが大きい 69.6–293.6kg
身長 132.1–198.1cm
Baseline SCR 平均 1.0mg/dL ( 0.3–2.5mg/dL)
final population modelではVCMクリアランス(CLV)は(age, 血清クレアチニン(SCR), sex, weight)の線形で表すことができた
CLV予測式: CLV = 9.656-0.078 × AGE - 2.009 × SCR + 1.09 × SEX + 0.04 × TBW^0.75 (age: year, SCR: serum creatinine, mg/dL, SEX: 男性1, 女性0, TBW: total body weight, kg)
VCM clearanceが低い患者にはVancomycin loading dosesは AUC0–24 valuesを90%の確率で達成するためには400mg •hr/L必要
loading dosesはAUC24–48 or AUC48–72 で中毒域に達する確率を大きく変えたりはしない(≧700 mg•h/L)
VCM clearanceが2L/hrの患者が 700mg•hr/Lに達する確率を0%にするためには、多くの患者がMICが1mg/Lの場合にAUC/MICが>400を達成できなくなる
考察
The 2009 consensus vancomycin dosing guidelinesでは通常腎機能の場合loading dosesを25–30 mg/kg投与したのち維持量 15–20 mg/kg / 8–12 hで投与することを推奨←肥満の有無に関わらずTBWを使用
ただし肥満患者への過量投与の懸念から様々な投与量の調整法が発表されている
肥満患者への初期投与量は投与者ごとに様々
現在のガイドラインではトラフでの調整を推奨しているがピークとトラフ両方測定する方がより正確に投与量を調整するための薬物動態パラメータを予測することができると考えられるようになってきている(筆者の施設では2013年から肥満患者のTDMには両方測定)
TDMが行われたとしても初期投与量の予測は未だにCLCrを使用した回帰式を使用している←回帰式を作った時のstudyでは肥満患者をあまり含んでいないためそのような患者の場合はCLCrを外挿するのに限界がある+過去のクレアチニン測定法で作られた式でありbiasのリスクがある
今回、年齢、SCR, sex, TBWの線形式でより正確にCLVを予測できることがわかった
最終薬物動態モデルでは実際に測定したVCM血中濃度の患者間差異の45%を説明することができた
limitations
ただし肥満患者への過量投与の懸念から様々な投与量の調整法が発表されている
肥満患者への初期投与量は投与者ごとに様々
現在のガイドラインではトラフでの調整を推奨しているがピークとトラフ両方測定する方がより正確に投与量を調整するための薬物動態パラメータを予測することができると考えられるようになってきている(筆者の施設では2013年から肥満患者のTDMには両方測定)
TDMが行われたとしても初期投与量の予測は未だにCLCrを使用した回帰式を使用している←回帰式を作った時のstudyでは肥満患者をあまり含んでいないためそのような患者の場合はCLCrを外挿するのに限界がある+過去のクレアチニン測定法で作られた式でありbiasのリスクがある
今回、年齢、SCR, sex, TBWの線形式でより正確にCLVを予測できることがわかった
最終薬物動態モデルでは実際に測定したVCM血中濃度の患者間差異の45%を説明することができた
limitations
VCMの投与適応や患者の臨床状態に関する情報がない
腎機能が非常に悪い患者に対する推奨量がない
腎機能が非常に悪い患者に対する推奨量がない
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