月水食堂のお弁当

地産地消と昭和の香りをコンセプトにした安くておいしいお弁当を届けます。

大工のお兄ちゃん

2011-07-25 19:29:59 | 日記
つみき食堂の前の道は、駅につながる人通りの多い道です。

最近、この周辺では区画整理で新築中の家や店が目立ちます。

新築中の家を見ていると、自分ちでもないのになんだかワクワク。

40数年前、私の生まれた土地では、あちらこちらで新築ラッシュでした。

何故なら埋め立てにより多額の漁業保証金が村人に支払われたからです。

御多分にもれず、我が家にも増改築の大工さんが入りました。
物置だった2階に子供部屋を作り、台所と食堂、客間を改築する… 予定でした。

大工さんが庭で木材を削り、新しい建具が導入され、トンカチの音にワクワクする私は、カンナで削った木屑をカツオ節に見立て遊びました。

若い大工さんはそんな私と休憩時間によく遊んでくれました。

縁側に並ぶお茶とお茶菓子。普段はけちな母親が大盤振る舞いでおいしい茶菓子を買って出しました。

大工のお兄ちゃんは、今で言うヤンキーで、最初はちょっとひきましたが、性根は優しい柔和な人でした。

一年生だった私は、家に帰るのが楽しみでルンルンでしたが、ある時から大工さんたちはパタリと姿を消しました。

トラブルメーカーの父が 些細な事にキレて、工事を中断したのです。

私はがっかりして、取り付けられたばかりのドアを開け、目をつぶってまた出ては、空想の部屋を想像して自分を慰めました。

今でも、あのやりかけの改築跡の残る実家に上がると、軽い落胆を抑えきれずにいる私です。