秋風の中の決斗（アイアンキング第５話）

●「秋風の中の決斗」昭和47年11月５日放映　モンスターゾロ登場
　放映第５話　脚本：佐々木守　監督：外山徹

　冒頭、モンスターゾロを隕石に偽装した意味がよくわかりません‥‥^^;
ただ、見物客相手に「隕石まんじゅう」やら「隕石のかけら」などを商売にする人がいる、というのはリアルだと思います。「隕石のかけら」を売っている人なんて、商売を手伝わせている自分の子どもに「そこらの石でイイんだヨ」などと言い放つ始末‥‥。
　そんな中、隕石の中心部からの「アナトリウム」の効果で万病が治る、という胡散臭い修験者姿の男が‥‥。「おさわり代」が１回千円(^o^)
隕石にずっと疑念を抱いていた弦太郎が見物客に避難を促すと、その修験者男が祈祷を始め、モンスターゾロが起動します。修験者とモンスターゾロの合成がなかなか見事！

　モンスターゾロは私が好きなタイプの球形怪獣（この場合はロボット）です。金属的な効果音と、球形の身体や頭部の硬質な着ぐるみ造型はイイ感じなのですが、白いウェットスーツの腕や脚が生々しくて‥‥^^;　ここも金属的な着ぐるみだったらカンペキなのに‥‥。

　アイアンベルトで闘う弦太郎。しかしアイアンベルトがモンスターゾロのトゲに絡まり、ピンチ！　モンスターゾロは手足を引っ込めて転がり始める！　そこへアイアンキング登場！　モンスターゾロの転がりを止め、弦太郎を救います。
今回から五郎さんのコスチュームが青いウィンドブレーカーに。撮影中の事故で、衣装がダメになったそうです。変身シーンのバンク・フィルムと繋がらなくなってしまいました‥‥。
また、ゆき子役の森川千恵子さんの髪も焼けてしまい、特撮番組に出演し続けるのが怖くなり、この事故がきっかけで降板の予定が早まってしまったそうです。
　モンスターゾロは高熱を発し、アイアンキングの攻撃から逃れます。煙と赤い照明、赤いフィルター、足下からの発火など、その高熱が充分に描写されています。

　コントローラーでモンスターゾロを操作していた修験者を発見した弦太郎。この修験者と弦太郎の戦闘シーンでは、カメラを弦太郎の目線として表現した意欲的な映像になっています。これはなかなかの迫力のシーンとなっています。

　「たまにはホテルでゆっくりとお風呂に入っておいしい食事を」と、五郎を罠におびき入れるゆき子（不知火10番目の影）。ロケは「箱根ドリームホテル」で行われたようですが、このホテルがどこにあったのか確認できませんでした‥‥。『アイアンキング』の初期は箱根周辺でのロケが多かったようです。今話では芦ノ湖やロープウェイも登場します。
裸で入浴中（あたりまえ(^^ゞ）の五郎（しかしチロリアンハットとサングラスは身に着けています）が、不知火族に捕らえられてしまいます。

　今回弦太郎が熱唱するのは、島崎藤村作詞の「惜別の歌」です。

　五郎が捕まったことを弦太郎に知らせ、不敵な笑みを浮かべるゆき子。まんまと罠に嵌めて、弦太郎をおびき出すことに成功。しかーし！　弦太郎は強かった。パラソルとトランポリンが駆使されたプールサイドでの戦闘シーンは、スピード感があってダイナミック！

　この一件で、ゆき子に疑念を持つ弦太郎。ゆき子を殴り、冷酷に振舞う弦太郎。一方、ゆき子を信じようとし、不知火族が襲ってきたのは偶然である可能性を諭し、弦太郎に「人間らしい気持ちを取り戻す」ように説得する五郎。
その時、ゆき子の助けを求める悲鳴が！　「オレは助けに行くぜ。血も涙もある霧島五郎さんだからな！」と言う、ロボット・アイアンキングである五郎。佐々木氏の脚本の皮肉が効いています。

　再び現れたモンスターゾロを撃破。戦いが終わって五郎が川の水を飲んでいると、弦太郎がドンブラコと流れてきて‥‥。川から引き上げても意識を戻さない弦太郎にゆき子は抱きつき、死んでしまったものと思って号泣。するとニヤリと笑って弦太郎が目を開けます。
「しょっぱかったぜ、オマエの涙。オマエも温かい涙が出る女だって、わかったヨ。」
さて、弦太郎はゆき子を信じたのか？　また、弦太郎が死んだと思って、不知火10番目の影・ゆき子が泣いたのはなぜ？

　今回からエンディング「ひとり旅」の映像が、物語の続きとなっています。


　　●モンスターゾロ
　突起のある球形の姿から、頭・腕・脚を伸ばして人型に変形します。
　球形では、転がっての破壊が主な能力です。また、全身から発熱し、周囲を発火させることもできます。アイアンキングもこの攻撃によって急激にエネルギーを消耗しました。